通院しても、薬を飲んでも、なかなか完治しない病気...それはもしかしたら、そもそも「西洋医学の治療」では治すことが難しいのかもしれません。そこで、中医学(中国伝統医学)を取り入れ、数多くの難病治療に当たってきた医師・岡部哲郎さんの著書『西洋医学の限界 なぜ、あなたの病気は治らないのか』から、中医学による「代替医療」という考え方について、連載形式で紹介します。
脳のコンディション調整で認知症は改善する 西洋医学の薬を飲んでいると逆効果の可能性も
中医学には、西洋医学ではとうてい太刀打ちできない得意分野がたくさんあります。
おもだったものを挙げると、認知症、関節リウマチ、緑内障などです。
とくに認知症は、私が中医学の道を志すきっかけとなった疾病。
私の目の前で、認知症を患った高齢女性が、漢方薬を飲むことによってどんどん良くなっていき、正常な状態に戻っていく過程を見たときのインパクトの大きさは忘れることができません。
まさに、中医学の底知れぬポテンシャルに衝撃を受けた瞬間でした。
認知症は大きく分けて、脳がドライになって熱を帯びているタイプと、脳に水が溜まって機能が落ちているタイプの2つが存在します。
そのいずれかを見極め、それぞれに適した対処法を施さなければなりません。
西洋医学の場合、認知症患者には一律、脳の伝達物質であるアセチルコリンを増やす薬を飲んでもらうことによって脳を活性化させ、改善を促そうとします。
しかし、それが逆効果になることも......。
脳がドライなタイプの認知症に対してそれをやると、「火に油」状態になってしまうからです。
しかも、認知症患者に自身の体の変化を正確に報告することを求めるのは困難ですので、副作用の有無さえもよくわかりません。
脳を本来のコンディションに戻す中医学の治療法
中医学では、すべての認知症を一緒くたに扱わず、どんなタイプのものであるかを判断するところから治療がスタートします。
薬によって強引に脳を活性化させて正常な状態にしようとするのではなく、脳がおかしくなっている原因を見つけてそれを取り除き、本来あるべきコンディションに戻すようにする。
これが中医学の基本スタンスです。
熱を持っているのなら冷ます効果のある漢方薬を。
水が溜まっているのならそれを外に排泄してくれる漢方薬を。
そうやって、脳がこれまで通りの働きをするように持っていきます。
原因を元から取り除くことが目的ですので、治療がうまくいけば、物の見事に認知症は改善されます。
西洋医学の領域では〝奇跡〟のように思えることも、根拠に裏打ちされた方法によって、何度でも繰り返すことができるのです。
中医学の治療で介護負担さえも減る
認知症治療を中医学で行うメリットは、症状が改善されることだけにとどまりません。
まず、症状が改善されればそれ以上漢方薬を飲む必要がなくなりますので、単純に医療費を抑えることができます。
その点においては、多少の効果があったとしても、いつまでも薬を飲み続けることを強要される西洋医学とは大違い。
トータルで見たとき、金銭面でかなりの差が発生することは、容易に想像できるでしょう。
もうひとつ、患者さんのご家族の介護負担を削減できる点が大きいです。
認知症患者の介護には、精神的にも肉体的にも、多大な負担が強いられます。
施設に入ってもらうにしても、莫大な費用がかかります。
でも、症状が改善されれば問題なし。
そういった数々の負担に、悩まされずに済むようになるのです。
もしも家族の誰かが認知症になってしまったらどうするか?
選択すべき道は、目の前にしっかり用意されています。
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