冷え性や生理不順、むくみに便秘...「自分の体質だから」とあきらめていませんか? その悩み、毎日の食事などを少し意識すれば解決するかもしれません。ヒントとなるのは中医学(中国伝統医学)のセルフケア。そこで、東洋と西洋の医学に精通した医学博士・関隆志さんの初著書『名医が教える 東洋食薬でゆったり健康法』(すばる舎)から、中医学をベースにした「不調を治す食事&運動の考え方」を連載形式でお届けします。
タイチエクササイズ3つの基本「呼吸」「姿勢」「経絡への意識」
タイチエクササイズ(太極拳)において、一番の基本となるのは「呼吸」「姿勢」「経路への意識」の3つです。
まずは、この基本を押さえるところからスタートしましょう。
丹田を意識しながら呼吸する
呼吸は心身に大きな影響を及ぼします。
呼吸の仕方によって心身の状態も変化することは、現代の西洋医学でも知られており、ヨガなどの修行法でも使われています。
タイチをおこなうときには、特に「丹田(関元:かんげん)」を意識しながら呼吸をします。
丹田とは、大人の場合、おへそから指4本分ぐらい下(約9㎝下)の位置にある"気を蓄積する"と言われている場所のことです。
さらに、息を吸うときおなかをへこませ、吐くときにおなかを膨らませる「逆腹式呼吸」も、タイチにおける呼吸の仕方の特徴です。
この丹田を意識した逆腹式呼吸は、心が落ち着き、体内に気力を充実させ、血行を促進する効果があるとされています。
「立身中正」が基本の姿勢
タイチにおける姿勢は、背骨を頭頂部から尾骶骨まで一直線にする「立身中正」が基本です。
立身中正になると、体が前後や左右に傾いたりせず、自然と丹田に気が集まり、重心が安定します。
全身の力が抜けて、どっしりとしているような感覚が生じるはずです。
逆腹式呼吸。手を上げる動作のときは、下腹部をへこませて鼻から息を吸います。手を下げる動作のときは、下腹部を膨らませながら鼻から息を吐きます。
コツは、まず首の力を抜き、「百会(ひゃくえ)」という頭のてっぺんにあるツボに意識を集中して立ちます。
その際に肛門を締め、尾骶骨をまるめて前に出すイメージで、背中がまっすぐになるように立ちましょう。
タイチエクササイズでは、この基本姿勢を正しくとれるようにならなければ、それ以外のポーズもうまくとれません。
正しく立てるように壁などを使って練習してみてください。
基本の姿勢
さまざまな動作の基本になる「立身中正」の姿勢。
酸素をしっかり取り込める呼吸をするためにも重要です。
この基本姿勢だけでも、経絡をしっかり意識すれば汗をかきます。
重心を落として、高めの椅子に腰掛けるようにするのがコツです。
重心を落として、高めの椅子に腰掛けるようにするのがコツです。ひざをただ曲げるのはNG。ひざがつま先より前に出てしまい、重心を真下に落とすことができていません。
壁を使った練習法
壁を使って練習すると、背中がまっすぐになるのでおすすめです。
通常、生活していると、背中とお尻のラインが直線になることはなかなかありません。
壁に後頭部、背中、お尻を意識してつけることで、頭からお尻までが、まっすぐきれいな直線になります。
×のNG姿勢は、腰が後ろへ反り、腰の後ろが壁から浮いています。後頭部と背中と腰を壁につけ、肛門を締めて尾骶骨を前に出してみましょう。
経絡への意識
体の前から、頭上を通って、後ろへ流れるように、気を巡らせるイメージでおこなうとよいでしょう。
口は閉じ、呼吸は鼻でおこなってください。
舌先を上あごにつけると、上半身の前側(任脈)と後側(督脈)が、1つの環のようにつながり、気が巡ると言われています。
撮影/i o(イオ) モデル/タイチスタジオ インストラクター /劉燕
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