「健康」ってどういう状態か説明できる? 体調を決める「中医学」の基本法則

冷え性や生理不順、むくみに便秘...「自分の体質だから」とあきらめていませんか? その悩み、毎日の食事などを少し意識すれば解決するかもしれません。ヒントとなるのは中医学(中国伝統医学)のセルフケア。そこで、東洋と西洋の医学に精通した医学博士・関隆志さんの初著書『名医が教える 東洋食薬でゆったり健康法』(すばる舎)から、中医学をベースにした「不調を治す食事&運動の考え方」を連載形式でお届けします。

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人の体を構成する3つの要素

そもそも、私たちが目標とする「健康」とは、どういう状態のことでしょう?

中医学では、それは人体の「気・血・津」という3つの要素に不足がなく、滞りなくスムースに循環している状態だと考えます。3つの要素のうちの何かが滞ったり、不足したりすると、体にさまざまな不調があらわれるとされています。

このうち、最初の「気」とは、元気や気力、つまり生命を維持して活動させるエネルギーのこと。あるいは、そのエネルギーの源を指します。目には見えませんが、内臓を働かせて血や水の循環をおこない、体を温めたり、成長を促すといった重大な役割を果たします。外部の刺激や環境から、自らの体を守る作用もあります。

次の「血」は、血液のことです。全身を循環して栄養と潤いを体中に行きわたらせ、各組織を活性化させる働きがあります。そのため、血が不足すると乾燥症状や、関節・筋肉の不調、各種の精神症状などを生じることがあります。

最後の「津」は、実際は「津液(しんえき)」と呼ばれ、血液以外の体内の透明な水分のことを指します。具体的には、リンパ液や細胞の組織液、涙や唾液などに相当すると考えることもできます。体内を巡って体を潤し、同時に栄養にもなります。

中医学の考え方では、この3つの要素の状態がその人の体質(ボディバランスの状態)を決める大きな要因の一つとし、それを「証(しょう)」と呼んでいます。

これら3つの要素は互いに影響し合い、食事や運動などの生活習慣によって変化します。

そして生活習慣や環境によって、体には「寒熱(かんねつ)」が生じます。この「寒熱」が4番目の要素です。

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たとえば、血や津がどろどろに滞り、体が「熱」を帯びると、炎症がおこりやすくなります。逆に、同じ状況でも冷えた状態の「寒」になる場合もあり、このときには、臓器などの機能の低下がおこりがちです。

足りないか滞っているかで体質は変わる

中医学の考え方では、このように3つの要素の状態と、寒熱が生じていないかによって、健康かどうかをチェックしていくのが基本です。

具体的には、まず人の体質や体調を決める前述の3要素ごとに、それが不足しているのか(-)、滞っているのか(+)を見て、タイプ分けしていきます。加えて、冷えているか熱を帯びているかでも、体質や体調のタイプをチェックします。

これらのうち、気・血・津が足りないマイナスの状態のことを「虚証」と言い、逆にそれらが滞っているプラスの状態のことを「実証」と呼びます(実証には、冷えや熱など外界の要因が体に影響している状態も含みます)。

不足している虚証の場合には、足りていない要素を食薬や漢方薬、鍼灸治療、ツボ押しなどで補います。逆に滞っている実証の場合には、滞っている要素を巡らせて排出させる食べものをとったり、同じ効果を持つ治療をおこなったりするわけです。

体質には8つのタイプ(証)がある 体質・体調の種類を知る

中医学、あるいは食薬で意識すべき体質・体調のタイプ「証」について、さらに詳しく理解していきましょう。

まず、「虚証」には4つのタイプがあります。「気虚」タイプは、気、つまりエネルギーが足りない状態のこと。息切れや疲れやすさ、めまい、自汗(昼間、安静時や少し動いただけのときでも発汗する)といった症状が出がちです。

「血虚」タイプは、貧血のように血が足りない状態です。顔など皮膚や唇くちびるの色が白っぽくなったり、皮膚が乾燥してかゆくなる、目が乾燥してかすむなどの症状が出やすいタイプです。

3つ目の要素の「津」、つまり水分が足りないと、熱が体にこもりがちになるのですが、このタイプを「陰虚」と言います。手のひらや足の裏がほてる、寝汗をかく、不眠などの症状が特徴的です。

そして、体を温める力がないために体が冷えた状態は「陽虚」というタイプです。冷えや下痢、夜間の多尿や腰痛、不妊症などが起こりやすくなります。

「実証」にも4つのタイプがあります。

気が滞った状態の「気滞」タイプでは、おなかが張ってゲップが出たり、イライラしたり、気持ちが落ち込みやすくなります。

「血瘀(けつお)」タイプは、血が滞った状態のこと。サメ肌(皮膚がサメの皮のようにザラザラする症状)で化粧ノリが悪い、月経血が暗赤色で血の塊が出る、シミ・ソバカス、舌の裏の静脈が紫色に腫れるなどの症状が出がちです。

「津=水分」が滞った状態の「痰・湿・飲」タイプは、むくみや軟便、鼻水や痰たん、女性のおりものが増えるなどの症状が特徴的です。

最後に、水が熱を帯びて滞った状態の「熱痰・湿熱」タイプは、黄色くネバネバした目ヤニや痰、女性のおりものなどの分泌物が出たり、大便のにおいがきつくなるなどの症状があらわれやすいタイプです。

8つの「証」の分類を下の図にまとめてあります。ご自分の証をセルフチェックするときの参考にしてください。

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057-syoei-touyoushokuraku.jpg理論よりも実践がメイン。4章にわたって体質・体調に合わせたレシピやツボを刺激するエクササイズが写真付きで紹介されています

 

関 隆志(せき・たかし)

医学博士。WHO Temporary アドバイザー。内科医、日本東洋医学会認定医。東洋食薬ライセンス 理事長ほか。東北大学医学部医学科卒業後、東北中医クリニック院長、東北大学医学部附属病院 老年・呼吸器内科医員、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター サイクロトロン核医学研究部研究教授を経て現職。

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『名医が教える 東洋食薬でゆったり健康法』

(関 隆志/すばる舎)

年齢を重ねると増えていく体の悩みが、みるみる改善! 8つのタイプと症状から、あなたの「証(体の状態)」と体の整え方がわかります。難しい言葉もわかりやすく解説された、誰でもできる不調を治す食べ方&体の動かし方のコツが詰まった東洋医学セルフケアの入門書。

※この記事は『名医が教える 東洋食薬でゆったり健康法』(関隆志/すばる舎)からの抜粋です。

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