年齢を重ねるたびに増える体の不調。それは筋肉の使い方が悪いことが原因かもしれません。そこで、ラグビー日本代表選手を支えたアスレチックトレーナー・佐藤義人さんの著書『1分間だけ伸ばせばいいー2つの筋肉を伸ばして体の悩みを改善ー』(アスコム)から、明日から体が軽くなる「筋肉のしつけ方」を連載形式でお届けします。
体の不調にかかわる、動かなくなった上半身の筋肉
動くことができなくなり、体の不調の原因となっている、多裂筋と足指の伸筋群。この2つの筋肉をしつければ、正しい姿勢がつくられ、体の痛みやこり、しびれなど、かなりの不調が改善されます。
悪い姿勢を続けてきたことで動かなくなっている上半身の筋肉の代表格は、多裂筋。正しい姿勢の維持に深くかかわっている筋肉なので、まずは多裂筋をしつけます。
多裂筋が動きを取り戻したら、それから、他の筋肉もしつけていくとよいでしょう。
上半身には、多裂筋の他にも動かなくなり、体の不調の原因となっている筋肉があります。これらは、多裂筋と連動して動かなくなっていることが多いのです。
例えば、肋骨の間にある肋間筋(ろっかんきん)。
肋間筋をしつけると胸椎(きょうつい)とつながる肋骨が動くようになり、多裂筋とともに背骨を正しい位置で維持できるようになります。
背中を丸めると腕の可動域が狭くなったように、肩関節を支える胸の筋肉( 大胸筋―だいきょうきん)や肩甲骨(けんこうこつ)の筋肉(棘下筋―きょくかきん)をしつけると、肩が前に入っている悪い姿勢を矯正(きょうせい)することができます。
背骨とつながる骨盤を立てた状態で維持するには、多裂筋だけでなく、反対側のお腹の筋肉(腹直筋―ふくちょくきん)のはたらきも欠かせません。多裂筋を使えるようになったら、バランスをとるためにしつけておきたい筋肉です。
体の不調を改善したければ上半身のこの筋肉をしつける!
体の不調にかかわる、動かなくなった下半身の筋肉
動かなくなり、体の不調の原因となっている下半身の筋肉の代表格は、足指の伸筋群。上半身の多裂筋とともに優先してしつけるべき筋肉なので、まずは足指の伸筋群のストレッチからはじめます。
足指の伸筋群が動くようになったら、他の筋肉も一緒にしつけていくようにすると一層効果的です。
例えば、足裏の屈筋群(くっきんぐん)です。
屈筋群は、伸筋群とは逆の動き、足指を曲げるときにはたらく筋肉です。反らす動きとともに曲げる動きも良くなれば、さらに足指を使えるようになります。また、足裏の屈筋群は、地面からの衝撃を吸収・分散して、全体重を支える土踏まずの下にあるアーチをつくる筋肉。アーチが崩れると、姿勢が悪くなる原因になります。
崩れた姿勢になると脚の前側の筋肉ばかりを使うため、裏側の筋肉を使わなくなります。脚裏全体の筋肉をしつけておけば、姿勢の維持がらくになります。
さらに下半身でしつけておきたいのが、股関節を動かす太ももの前の筋肉とお尻の筋肉(大殿筋―だいでんきん)と中殿筋(ちゅうでんきん)です。股関節の動きが悪くなると、その上にある背骨と骨盤のポジションが崩れます。
とくに太ももの上のほうは、姿勢が悪くなると使い過ぎてすぐに硬くなります。
体の不調を改善したければ下半身のこの筋肉をしつける!
伸ばし方のポイントや症状別のプログラムなど、ストレッチ方法は写真付きで分かりやすい!