急にくる「下痢」や長く続く「便秘」に悩んでいる女性も少なくないはず。そこで、排便トラブルのスペシャリストである大腸・肛門機能の専門医による話題の書籍から「排便の正しい知識と対処術」をご紹介!目指すべき理想の便「するするバナナ」についてや、多くの人が誤解して陥りやすい「うんこトラップ(罠)」、またその予防・対処術としての「うんトレ」のエッセンスを、連載形式でお届けします。
※この記事は『うんトレ ― 誰にも言えないうんこのトラブル「スッキリ解消! 」ブック』(神山剛一・医療監修/方丈社)からの抜粋です。
前の記事「自己診断は絶対ダメ!超がんこな「直腸性便秘」を知っていますか?/うんトレ(4)」はこちら。
誤解を正して、うんこトラップよさらば
大腸・肛門機能の専門医である神山先生は患者さんを診る中でみんなが陥りやすい"うんこトラップ(罠)"を見つけたと言います。
最たる罠は、うんこにまつわる常識としてまことしやかに広まっている諸説です。
神山先生は「誤解が排便トラブルに対する恐怖心をあおり、すっきり幻想をかき立てている」と指摘します。
ですから誤解を正し、冷静にうんこと向き合えるよう、うんこにまつわるリテラシー(情報理解・活用力)を高めるのもうんトレです。
記者は取材で誤解が正されたおかげで「朝の排便」に対する強迫観念が薄らぎ、気持ちがラクになりました。
自分なりに「本物の便意」を待つことができるようになって、「するするバナナ」の登場が増えたと思います。
次の4つの誤解を正して、いくらかでも怖さを手放すことができますように!
【うんこ関連誤解 その1】ストレスが強い生活をしているから便秘(下痢)が治らない
「その観念もストレス!?」
ストレスが強いことによる自律神経の不調は、排便トラブルを起こす一因になる可能性はありますが、排便トラブルの原因はもっと複合的で、人・ときと場合により多様です。
ストレスと排便トラブルを結びつけて強迫観念に怯えたり、あきらめるより、それぞれに無理なくできる対処をして、健やかさを取り戻しましょう。
ストレスを自覚しているなら、自律神経の乱れを正すケアを心がけ、排便トラブルが続いているならうんトレ。
不安が強かったり、生活に支障が出ていたら専門医を受診。いずれかのアクションを!
【うんこ関連誤解 その2】ちゃんと寝られないからうんこも出ない、うんこが出ないから眠れない
「快眠≠快便もある」
「好きな人のことを考えて眠れない」などというのは久しくないことで、もうなくていいけれど、あったとしても、脱糞のまさに瞬間には悩んでいません、きっと。
眠れなくても、眠れても、うんこが出る日も、出ない日もあります。
睡眠と排便は、ともに自律神経のはたらきと関係が大きいので、同時に不調ということは起こり得ますが、相関しているわけではありません。
すべては自律神経の不調を原因とするような情報で得心していると、うんトレのタイミングを逃してしまうことも。
悩むより、うんこにいい行動を!
【うんこ関連誤解 その3】大腸は加齢とともにポンコツになって、年寄りなったらみんな便秘で苦しむ
「大腸はほとんど老いない」
排便スーパーDr.の神山先生はこれまで数万人の大腸を診てきて「つくづく大腸はキレイな臓器だと思う」と話しました。
他の臓器と比較して、老いが現れにくい臓器だとも。
ですからそう簡単にポンコツにはならないと思ってOK。
とはいえ確かに、高齢になると便秘で悩む人は多くいます。
しかしそれを大腸のせいにしてはいけない。高齢者の便秘は、糖尿病や腎不全など便秘になりやすい持病や、食生活、下剤の乱用、運動不足など、人の、長年の習慣によるもの。
「高齢者の」とひとくくりにせず、個別のケアが重要です。
【うんこ関連誤解 その4】おならが臭い人は腸の中で腐敗が進んでかなりヤバいことになっている
「腐敗妄想こそヤバい」
腸の中で腐敗が進む説も広く知れ渡って、人々を怯えさせます。
しかし神山先生は「そんな怖いことは起こらない」と笑い飛ばしました。
そんな妄想をする人のほうが怖いかもしれません。
大腸の血流が悪くなったり、腸で発達しているべき免疫機能が低下することはあっても、腸の中が腐ったりはしません。
また、おならで病気はわかりません。
おならのほとんどは飲み込んだ空気です。
においのもとは腸内細菌が食べ物を発酵・腐敗させるときに出す微量のガス。
臭気が悩ましい人はにおわない食生活を工夫してみましょう。
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かわいいイラストを使って「排便の正しい知識と対処術」が分かりやすく解説されています