「1カ月前に風邪をひいて、咳だけ今も出る」「カラ咳が1年くらい続いている」など、ここ数年「止まらない咳」を訴えて病院を訪れる人が増えています。2週間以上続く咳の場合はさまざまな病気の可能性があるので注意が必要です。今回は「咳が止まらないときの受診」について、日本内科学会総合内科専門医・日本呼吸器学会専門医で、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生にお聞きしました。
呼吸器疾患専門の検査機器で原因と治療法を探します
咳や痰が続いた場合、まず近隣の「内科」を受診することが多いのではないでしょうか。
本来、咳が出る病気を担当するのはほとんどが「呼吸器科」ですが、町のクリニックでも大学病院でも呼吸器科の専門医が少ないのが現状です。
「呼吸器の不調を訴える人が増えている一方で、近隣に呼吸器専門の医療機関がないために適切な診断や治療を受けられず、症状が改善しないという人も多くいます」と、大谷先生。
何カ所もの内科や耳鼻科へ行っても長引く咳の症状がよくならず、呼吸器科でようやく重篤な病気がわかった人もいるそうです。
ネットなどで調べても近所に呼吸器の専門医院がない場合は、「一般社団法人日本呼吸器学会」のホームページに記載されている「専門医一覧」で検索することを、大谷先生はすすめています。
この学会では、呼吸器疾患を専門とする呼吸器科専門医の認定を行っており、認定専門医と認定施設の一覧を検索できるので便利です。
呼吸器科では、問診と診察のほか、呼吸器疾患を検査する専門の検査機器が用意されています。肺機能検査や呼気中一酸化窒素濃度測定、呼吸抵抗測定のほか、インフルエンザやマイコプラズマ迅速検査、肺炎球菌やレジオネラ尿中抗原検査、デジタルX線画像診断など、さまざまな専門的検査によってあらゆる呼吸器系の病気の可能性を検討し、その原因と治療法を探っていきます。
咳が止まらない時は早めに呼吸器の専門医を受診して、適切な治療を受けましょう。知らず知らずのうちに重篤な病気を進行させないためにも大切なことです。
取材・文/岡田知子(BLOOM)