筋力トレーニング(以下、筋トレ)とは、筋肉に負荷抵抗をかけて筋力をつけていくトレーニングのことです。筋力があると階段の上り下りや荷物を持つ、といった日常生活が負担なく行え、骨粗鬆症や糖尿病などの慢性疾患予防にも効果があります。
高齢者ほど必要だといわれている筋トレ。道具がいらず、無理なくすぐできる"貯筋"運動で、筋肉を増やしましょう。
筋肉不足は冷えやむくみも招きます
筋肉は動くためだけの組織ではありません。全身の血液の循環のほか、寒い季節に感じやすいむくみや冷えは筋肉とも関係しています。特に下半身の筋肉を動かすことは、自覚しやすい脚のむくみや冷えを解消するのに有効に働きます。
心臓が血液を送り出していますが、体の高い位置にあるので、送り出された血液が脚に向かって流れていくのは、無理のないごく自然なこと。反対に脚から血液を戻していくには重力に逆らっていかなければなりません。いってみれば、このくみ上げる働きをしているのが、筋肉なのです。静脈の周りにある筋肉が収縮してポンプのような働きをして血液が戻っていくので、「筋ポンプ作用」と呼ばれています。
太もも前の筋肉やふくらはぎの筋肉は、この血液を戻すときに重要な働きを担っています。このため脚の筋肉量が減少すると日常の動きだけでなく、むくみや冷えにも影響してきます。むくんだときには、むしろ脚を動かして筋肉を使うと、早くむくみがとれてきます。
筋肉を貯める運動「背伸び」
目安の回数 16回
注意!安定感のあるいすを使いましょう
以下のようないすを選びましょう。
●脚が動かない。
●座面がなるべくフラット。
●回転しない。
●折りたたみではない。
◎ここがポイント
-背筋は真っすぐ
-かかとをゆっくり上げる
●鍛えるのはココ!
下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
ふくらはぎの筋肉で「第2の心臓」と呼ばれ、衰えると血流が停滞します。
下腿三頭筋は歩く・走るときに体が倒れないように支えたり、立って姿勢を維持するのに必要な筋肉です。とても疲れを感じやすい部位がふくらはぎですが、しっかり貯筋があると血流が良くなり疲れにくくなります。
1 脚は腰幅に開き、つま先とひざは同じ方向に向けて立ちます。手をいすに添え、目線は真っすぐ前を向けます。
2 背筋は真っすぐのままゆっくりとかかとを上げてつま先立ちになります。なるべく高い位置まで上げたら、ゆっくりかかとを下ろします。16回繰り返します。
チャレンジ!
いすがなくても上げ下ろしができるようになるのを目指しましょう。
取材・文/石井美佐 撮影/木下大造 ヘアメイク/ange モデル/柴田景子