座ったままで腹筋を鍛える「座位での上体起こし」で腰痛予防!/筋肉貯金

筋肉は使うほど貯まり、動ける体、健康寿命を支えます

筋肉が落ちると寝たきりや認知症に一歩、近づき、自由な生活からは遠ざかります。
筋肉を意識的に使うことで脳が活性化され、神経のつながりも良くなり、結果、いつまでも自力で動くことができます。「貯筋・ 運動」で"貯筋"の残高を増やしましょう。

高齢者の転倒原因は「段差につまずいた」が最も多く、脚の筋力が低下し、すり脚になる→つまずく→転倒する、というのがよくあるケースです。これは筋肉不足になり、脚が上がりにくくなることが原因です。転倒で骨折して、そこから寝たきりになることも多々あります。

病気やケガで寝たままの状態が続いたとき、"貯筋"がある人は治った際、日常生活に早く戻ることができます。太もも前側の筋肉を例にすると、寝たきりの生活では、2日で1%の筋肉が減少していきます。50代以降、太もも前側の筋肉は1年に1%ずつ減少しますが、わずか2日の寝たきり状態で1年分の筋肉量が減少することになります。2週間だと7年分もの減少です。

病気やケガは治っても自立した日常生活を送るための筋肉がないと、歩いたり動いたりすることができません。そのために寝たきりになってしまうのです。貯筋があれば欲しいものを買うことができますが、筋肉も同じでいざというときに貯筋があれば余裕が生まれます。

寝たきり生活を防ぐために、筋肉を鍛えて貯めておきましょう。

 
年齢とともに衰えやすい腹筋を鍛える!

腹筋は年齢とともに減少が著しい場所です。腹直筋は寝ている姿勢から起き上がる、また呼吸や姿勢の維持など、日常生活の動きに深く関わっている筋肉。内臓を守る役目も果たしています。が、年齢とともに衰えやすい筋肉でもあります。腹直筋が鍛えられると、腰痛予防にもなります。

 

筋肉を貯める運動「座位での上体起こし」
【目安の回数】 8回ずつ2セット

安定感のあるいすを使いましょう
以下のようないすを選びましょう。
●脚が動かない。
●座面がなるべくフラット。
●回転しない。
●折りたたみではない。

1 脚は腰幅に開いていすに浅く座り、あごを引いて背中を丸める。手は胸かおなかに当てる。座ったままで腹筋を鍛える「座位での上体起こし」で腰痛予防!/筋肉貯金 1807p111_03.jpg 
2 息を吐きながらおへそを見たまま体を後ろへ倒す。あごを引いたままゆっくり1の姿勢に戻る。座ったままで腹筋を鍛える「座位での上体起こし」で腰痛予防!/筋肉貯金 1807p111_04.jpg

 

◎ここがポイント
座ったままで腹筋を鍛える「座位での上体起こし」で腰痛予防!/筋肉貯金 1807p111_02.jpg

手はおなかに当てて行ってもよい。

 

座ったままで腹筋を鍛える「座位での上体起こし」で腰痛予防!/筋肉貯金 1807p111_01.jpgよく「腹筋が割れている」といわれるのは腹直筋のこと。おなかの前面にあって認識しやすい筋肉です。

《これはNG》
背中が反り、あごが上がると腹直筋ではなく背筋を使うことになるので注意。座ったままで腹筋を鍛える「座位での上体起こし」で腰痛予防!/筋肉貯金 1807p111_05.jpg

 

※そのほかの筋肉貯金の記事はこちら。

取材・文/石井美佐 撮影/木下大造 モデル/柴田景子 

 

監修/福永哲夫(ふくなが・てつお)さん

鹿屋体育大学名誉教授・早稲田大学名誉教授・東京大学名誉教授。「貯筋運動」考案者。筋トレの重要性を提案。


運動指導/沢井史穂(さわい・しほ)さん

日本女子体育大学スポーツ健康学科教授。全国で「貯筋運動」の実践、普及に尽力している。

この記事は『毎日が発見』2018年7月号に掲載の情報です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP