病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、バリウム検査で「十二指腸球部変形」と診断された、という60代男性のお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。
Q
バリウム検査で「十二指腸球部変形」と診断されました。
63歳の男性です。毎年1回、健康診断を受診しています。バリウムを飲むX線検査も受けているのですが、この2~3年続けて「十二指腸球部変形」ということが診断結果に書かれています。
医師からは何も説明がなく、「要治療」とも書かれていません。他に悪い部分もありませんので、そのまま放置しているのですが、徐々に悪くなっていく可能性はないのでしょうか。
そもそも、「十二指腸球部変形」とはどのような病気なのでしょうか。また、進行を予防するにはどうすれば良いでしょうか、教えてください。
A
潰瘍などが原因で変形。
痛みがあれば内視鏡検査を
バリウム検査の所見で、十二指腸球部変形と指摘されたことについてのご質問です。
十二指腸球部というのは、胃から十二指腸に出たすぐの場所です。その部分は玉のように丸く広がっているため、球部というのです。
この十二指腸球部という場所は、潰瘍がとくに起こりやすい場所で、十二指腸潰瘍と呼ばれます。潰瘍が起きると、治る過程でひきつれが起きたり、組織に少し傷跡が残ったりします。すると、今まで綺麗に丸く膨らんでいたものが変形してしまうことがあります。
しかし、バリウム検査というものは、まず発泡剤を飲んで、胃や十二指腸を空気で膨らませてから撮影するのですが、十二指腸球部は、とくに病気のない人でも、検査中にうまく膨らまずに、それが変形に見えるようなこともあるのです。
そのため、十二指腸球部変形と診断されても、必ずしもひどい潰瘍があるというわけではありませんが、何度も繰り返しそのような所見が出されるのであれば、もしかしたら以前、十二指腸潰瘍を起こしているのかもしれません。とくに胃の痛みなどがなければ、それほど心配する必要はありませんが、もし痛みがあるようでしたら、一度内視鏡検査を受ける必要があります。
潰瘍の原因は色々あります。ストレスなどでも起きるのですが、重要な原因の一つとしてピロリ菌の存在があります。最近見つかった菌で、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、潰瘍だけではなく、胃がんの原因にもなったりします。
潰瘍を起こしており、さらにピロリ菌の感染もある場合には、今では除菌治療をするというのが一般的です。ピロリ菌感染の有無を調べる検査は、採血、便、尿の検査や、吐く息での検査など、色々な方法があります。十二指腸球部変形のある人が必ずピロリ菌の検査をしなければいけないというわけではありませんが、心配な場合は一度チェックをしてみると良いでしょう。(老友新聞社)