
『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』 (菅原 道仁/アスコム)第5回【全7回】
「休む」というと、ただゴロゴロすることだと思っていませんか? 寝ても疲れが取れないのは、あなたが「疲れの正体」を知らないからかもしれません。書籍『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(アスコム)では、脳神経外科医の菅原 道仁氏が、長年の研究からたどり着いた「疲れを取るための技術」を分かりやすく解説しています。ご自身の体の状態を理解することから始め、その時のあなたに合った「正しい回復法」を実践するだけで、少しずつ体が軽くなっていくのを実感できるでしょう。今回はこの本の中から、だるさや重さから解放され、毎日をいきいきと過ごすためのヒントをご紹介します。
※※本記事は菅原 道仁 (著)による書籍『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』から一部抜粋・編集しました。
休みづらい職場なら転職も視野に
サボりやズル休みはさすがにいただけませんが、会社のルール上、もしくは法律上、休んでいいときはきちんと休みましょう。有給休暇も、フル活用しましょう。それは、労働者に認められた確固たる権利です。
上司や同僚が納得するような理由を、わざわざ探す必要はありません。
これは前項で触れた「空気を読む」にも通ずる話ですが、空気を読まずに休んで職場の反感を買ったとしても、意に介さないことが重要です。
それをいちいち気にしていたら、休みの日が休みではなくなってしまいます。かえって逆効果で、心の疲れを増長してしまいかねません。
もしもその休みがきっかけとなって、それまで就いていたポストを降ろされたり、重要な仕事を回してもらえなくなったり、冷たくあしらわれたり、嫌がらせをされたりしたら、それはもはや「自分が無理してとどまる必要はない会社」と判断しましょう。
たとえその場を乗り切ったとしても、いつかまた同じ目にあう可能性が高いと考えて、次なる一手を打つべきです。
とにかく、「休む」ことに妥協は不要なのです。
ハラスメントを受けていることをはっきりと主張しつつ、退職や転職を視野に入れることも考えてみてください。つまり、それくらい、休むことは人生において優先順位が高く、大切なことなのです。
人生は長いですが、ストレスを受け続けることがわかりきっている職場に身を置くのは、本当に時間がもったいないです。もっと自分の人生を大切にして、無駄な時間を過ごさないようにしましょう。あなたにぴったり合った、ストレスを極力感じずに済む職場は、どこかにきっとあるはずです。
なにより、しっかりと休息することでパフォーマンスを上げることを目指したいものです。
休む際に理由はいらない
「疲れたな」と感じたら、躊躇なく休むようにしましょう。疲労は断じて仮病ではありませんし、悪いことでもありません。正当な理由です。というよりそもそも、理由がなければ休めないという法律は存在しないので、後ろめたさを感じる必要もなし、です。「疲れた状態で仕事をしても効率が上がらないから、長い目で見れば今回の休みはプラスに作用する」くらい前向きに考えるべきなのです。
疲れを感じていなくても、休むことには大きな意味があります。スポーツ観戦、音楽鑑賞、旅行、推し活など、趣味を存分に楽しんでリフレッシュするのもいいですし、部屋でぼーっとしてDMN(デフォルト・モード・ネットワーク[Default Mode Network :DMN]のこと)の活性化を促すのもいいでしょう。
いずれにせよ、休みに罪悪感を抱いてしまいがちな人は、価値観と考え方を一新するように努めてみてください。見えてくる世界が間違いなく変わりますし、日増しに疲れにくい脳と体が形づくられていくと思います。








