
『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』 (菅原 道仁/アスコム)第7回【全7回】
「休む」というと、ただゴロゴロすることだと思っていませんか? 寝ても疲れが取れないのは、あなたが「疲れの正体」を知らないからかもしれません。書籍『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(アスコム)では、脳神経外科医の菅原 道仁氏が、長年の研究からたどり着いた「疲れを取るための技術」を分かりやすく解説しています。ご自身の体の状態を理解することから始め、その時のあなたに合った「正しい回復法」を実践するだけで、少しずつ体が軽くなっていくのを実感できるでしょう。今回はこの本の中から、だるさや重さから解放され、毎日をいきいきと過ごすためのヒントをご紹介します。
※※本記事は菅原 道仁 (著)による書籍『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』から一部抜粋・編集しました。
脳の回復習慣7
リカバリー体質を作る!
効率よく疲れをリセットするために、「自律神経の疲れ」「心の疲れ」「体の疲れ」という3タイプに分けていますが、疲れを感じているのは、どのタイプであっても脳です。体の疲れは脳と縁遠いように思うかもしれませんが、体が重い、ダルいなどと感じているのは脳ですし、体の疲れが慢性化して自律神経が乱れると、やはり脳が疲れてしまいます。冒頭で脳の疲れを重視すると述べたのは、結局、「疲れているのは脳」ということもできるからなのです。
日々疲れと戦っている脳をラクにするための7つの回復習慣を紹介します。7つの習慣を身につけると、仮に疲れることがあっても、すぐにリカバリーできるようになります。
「運動」は脳を休ませるだけでなく、脳そのものを強くする

「運動をすると疲れる。休息とは真逆の行為」という認識は誤り。アクティブレスト(積極的休息)という概念があり、運動が脳の休息になることもある。さらには、脳そのものを強化することにもつながる。「運動習慣のある人は、ない人に比べ脳の体積が大きい」「週3回程度の中強度の運動を半年から1年続けると、海馬をはじめ特定の脳領域の体積が有意に増加した」など、その効果を証明する報告は枚挙にいとまがない。現代人にとって、運動習慣はマストなのだ!
「自然に触れる」と脳がクリアになる

日本衛生学会が行った森林浴に関する調査によると、「森林内で椅子に座って景色を眺めたり15分ほど散策するだけで、唾液中のコルチゾール濃度が都市部歩行に比べ平均13~16%も低下し、脈拍や血圧も下がった」という。コルチゾールとは、慢性的分泌過多の状態が続くと、記憶力や学習能力に悪影響を与えるとされるステロイドホルモンの一種。その数値が下がるということは、脳機能の改善を意味する。
ほんの「10分の休憩」は脳へのご褒美になる

「11時間以上座っている人は、4時間未満の人と比較して死亡リスクが40%高い」という報告があるほど、長時間の座りっぱなしは本当に危険。「数分~10分程度の短い休憩でも、疲労感が有意に軽減する」ことが最新の研究でわかってきたので、適度に立ち上がって休憩を挟もう!
「脳によいことを66日続ける」と脳の負担が軽くなる

注目は2009年にイギリスのロンドン大学の心理学者フィリップ・ラリー博士が発表した、「新しい習慣を身につけるために必要な日数は、個人差はあるが平均66日程度」という研究結果。このあと紹介する回復法を2カ月ちょっとコツコツと続けていけば、おのずと脳の負担が軽くなる生活が習慣として身につく。長い人生を考えれば、「2カ月も」ではなく「たったの2カ月で」と言っていい。








