【血糖値の上がり方】「マーガリンVS苺ジャムVSピーナッツバター」の違いを医師が検証

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『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』 (山村 聡/KADOKAWA)第6回【全7回】

糖尿病内科医の山村 聡さんは、自身のYouTubeで血糖値に関する情報を発信し、多くの反響を呼んでいます。書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)は、YouTubeで特に人気のあったテーマを厳選し、さらに動画では伝えきれなかった情報や、本書だけの新しい内容を盛り込んだ1冊です。「これを食べたら、血糖値はどれくらい上がる?」この切実な問いに答えるため、著者が実際に食べ、血糖値の変化を検証。具体的なデータと、血糖値を上げにくい食品の選び方、食事の工夫をわかりやすく解説しています。今回はこの本の中から、誤解している方が多い「血糖値を上げにくい食べ物」についての比較・検証をご紹介します。

※本記事は山村 聡(著)による書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』から一部抜粋・編集しました。

【マーガリンVS.苺ジャムVS.ピーナッツバター】朝食トースト派の方は必見!トースト塗りもの対決

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【初期値】
マーガリン:110mg/dL
苺ジャム:106mg/dL
ピーナッツバター:110mg/dL

 ↓(マーガリン、苺ジャム:70分後 ピーナッツバター:80分後)

【最大値】
マーガリン:188mg/dL
苺ジャム:187mg/dL
ピーナッツバター:231mg/dL

【上昇幅】
マーガリン:78mg/dL
苺ジャム:81mg/dL
ピーナッツバター:121mg/dL

食パン(1枚)マーガリン(20g):エネルギー284kcal 炭水化物30.3g
食パン(1枚)苺ジャム(20g):エネルギー211kcal 炭水化物42.1g
食パン(1枚)ピーナッツバター(20g):エネルギー248kcal 炭水化物39.2g


朝、トーストを食べるとき、トーストに塗るもの、のせるものには、いろいろありますが、マーガリン、苺ジャム、ピーナッツバターの3種でパンを食べ、血糖値上昇の様子を検証してみました。

なお、最初に断っておかなければなりませんが、この検証の血糖値上昇の主な要因となっているのは、パンに含まれる炭水化物(=糖質)。上のグラフをごらんになってもわかるように、3つとも血糖値がかなり上昇しています。上昇の主因は食パンの小麦粉によるもの。そこにさらにマーガリンや苺ジャムを塗って食べたとき、血糖値の上昇の程度にはどんな違いが出てくるかというのが、この検証のメインテーマになります。

マーガリン、苺ジャム、ピーナッツバターは、それぞれ20gずつ使っています。

まずはマーガリン。初期値が110mg/dLで、食後血糖値はわりとゆるやかに上昇し、70分後にピークの188mg/dLまで上がりました。上昇幅は78mg/dL

次に、苺ジャム。初期値が106mg/dLで、食後70分かけて上昇し、ピークは187mg/dL上昇幅は81mg/dLとなっています。

3つめがピーナッツバター。初期値が110mg/dLで、ピークはようやく80分後、231mg/dLまで上昇。上昇幅は、なんと121 mg/dLです。

マーガリンそのものには糖質はそれほど含まれませんから、マーガリンを塗ったパンの血糖値の上昇分は、パンのみの糖質による上昇分と考えられます。また、マーガリンには脂質が多めに含まれているため、その脂質の影響で、血糖値の上昇はゆるやかになり、上昇幅もある程度抑えられたと考えられます。

苺ジャムは、それ自体に糖質を含みますから、パン+苺ジャムの糖質によって、血糖値は鋭く急上昇しています。ただし、ピーク自体は、おそらく食パンの糖質による血糖値上昇の範囲内。つまり、マーガリンと苺ジャムは、血糖値の上昇に大きな違いをもたらしていないと考えてよいと思います。

意外だったのが、ピーナッツバターでした。脂質を含む食材は、脂質が消化・吸収を遅らせるため、血糖値の上昇がマーガリンのようにゆるやかになります。また、ピークも抑えられる傾向があります。「ピーナッツバターは脂質が多い分、それほど上がらないのでは?」と予想していましたが、想定以上に上昇しました。 その上昇の度合いは、かなりゆっくり。また、下がるのにも時間がかかっています。これは、ピーナッツバターに含まれる脂質の影響でしょう。

しかし、なぜこんなに血糖値が上がってしまったのか。市販品のピーナッツバターには砂糖が入っているので、その影響が大きいと考えられます。

本書では、一般に手に入りやすい食品・食材を使って検証を行うことが基本ルール。このため、市販の甘いピーナッツバターを使っていますが、血糖値が気になるかたは、砂糖の加えられていない甘くないピーナッツバターをおすすめします。

ただ、最も注意すべきは食パン自体の血糖値の上昇ということになりそうです。トーストを食べるのを食事の最後にもってくるカーボラストを試しましょう。それならトーストに塗るものは、お好きなものを選んでいいと思います。


結論
・総合的に見ると、マーガリンと苺ジャムは、血糖値の上昇に大きな影響なし
・砂糖入りのピーナッツバターより無糖のものを選ぼう


 
※本記事は山村 聡(著)による書籍『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』から一部抜粋・編集しました。
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