若々しさを維持するためには、血管が健康であることと、自律神経がしっかりと正常に働いていることが大切です。疲労研究の第一人者で大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授も勤める梶本修身先生に自律神経と疲労の関係をお伺いしました。
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自律神経の疲弊が疲れの元! 生活を見直して疲れない体に
「室内と屋外の気温差に体がついていけない」「しっかり眠ったのに疲れがとれない」といった悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?
実は、そういった体のだるさや疲れの原因は、自律神経にあります。「例えば散歩をするとき、真夏の炎天下を歩く場合と、春や秋の心地いい季節に歩く場合とでは、距離や運動量は同じでも、疲れの度合いはかなり異なります。これは、疲れの原因が筋肉や内臓といった体にあるのではなく、体温を調節する自律神経にあるため。自律神経に負荷がかかることで起こる脳の疲労が、私たちが普段感じている疲労の正体です」と、梶本修身先生。
活性酸素によって細胞が酸化すると、細胞はさび付き、劣化して、本来の働きを果たせなくなります。この酸化は、脳でも起こります。運動や労働などによって自律神経が酷使されると、脳内の自律神経中枢の細胞に活性酸素が大量に発生し、疲労の引き金になるのです。
「自律神経は老化が激しく、60代になると、20代の頃の2~3割まで減少します。一度老化した自律神経を復活させることは難しいのですが、良い睡眠をとることで疲労を解消し、年齢並みの機能を回復することは可能です。また、疲労が慢性化すると、老化はもちろん生活習慣病を悪化させ、さまざまな病気のリスクが増すことに。いまの生活を見直して、自律神経を疲れさせない習慣を心がけてください」(梶本先生)。
実は、疲労の原因は自律神経にあります
●疲労が起きるメカニズム
運動や仕事、紫外線、気温差など、さまざまな要因で人は疲れを感じます。これは、脳内にある視床下部と前帯状回という部位が疲労を起こすため。これらは、生命を維持するための根幹である自律神経の中枢です。
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過度な運動や労働、暑さ、ストレスなどによって自律神経が酷使されると、自律神経中枢の細胞で活性酸素が大量に発生します。すると、活性酸素から細胞を守る抗酸化物質が対抗しきれなくなり、疲労を起こします。
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疲労が慢性化すると、老化やがん、動脈硬化、心筋梗塞、白内障などの病気のリスクが増します。また、糖尿病、高血圧、脂質異常症など、生活習慣病も発症しやすくなります
●自律神経の働きはこんなにあります!
自律神経は、血管や呼吸、心臓の動きをはじめ、生命活動に必要な全ての機能をコントロールしています。
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取材・文/寳田真由美 イラスト/中川原透