2013年に登場!「機能性ディスペプシア」に効く薬/胃の不調

pixta_32421658_S.jpg「食欲がない」「胃がもたれる」「胃がキリキリと痛む」......誰もが一度ならず経験があるのではないでしょうか。胃の調子は健康のバロメーター。不調であれば、「食べた物が悪かった?」「それともストレスが大き過ぎた?」と考え、食べる量を控えるなどして、胃の健康を保とうとします。なぜ、胃の調子は悪くなってしまうのでしょう。しょっちゅう起こる胃痛や胸やけから、胃食道逆流症、胃潰瘍や胃がんまで、兵庫医科大学病院副病院長の三輪洋人先生にお聞きしました。

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慢性的な不調は「機能性ディスペプシア」かも

「不規則な生活やストレスをきっかけに、胃の『動く』と『感じる』機能に異常が起きるのが機能性ディスペプシアです。

健康な状態であれば、食べ物を食べると胃は大きく膨らんで、食べ物を十分に胃に入れようとします。ところが、『動く』機能が不調だと、胃は膨らまず、少し食べただけでお腹がいっぱいになってしまいます。これは『早期満腹感』です。また、胃は動くことで、消化した食べ物を続く十二指腸へ送り出していますが、この送り出しが悪くなると、食べた物が長時間胃にとどまってしまいます。すると、『胃もたれ』といった症状になります。

また、『感じる』機能に異常が起きると、胃の粘膜が胃酸に対して敏感になり、痛みを感じるようになります」と三輪先生。

医療機関で受診すると、必要に応じて内視鏡検査やピロリ菌の検査などが行われます。胃潰瘍や胃がんなどの病気は見つからず、また原因となる糖尿病などの代謝性疾患がなく、「つらいと感じる胃もたれ」「早期満腹感」「みぞおち付近の痛み」「みぞおち付近の灼熱感」が慢性的にあれば、「機能性ディスペプシア」と診断されます。慢性的とはこの場合、週2~3回以上症状がある、かつ、それが6か月以上前から始まり、3か月以上続いている状態です。胃に不調を抱えて病院を訪れた人の2人に1人は機能性ディスペプシアの診断を受けています。

 
服薬による治療があります

機能性ディスペプシアの「動く」機能の異常の改善のために、「運動機能改善薬」があります(アコチアミドなど)。この薬は、2013年に日本で使えるようになりました。この薬の効果で、食べた時に胃を広げて、早期満腹感を解消し、消化したものを十二指腸へスムーズに送れるようになります。

胃酸に対して過剰に「感じる」ことに対処できる薬として、「胃酸分泌抑制薬」があります(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬など)。この薬の効果で、胃酸の分泌量を減らすことができます。

運動機能改善薬と酸分泌抑制薬の服用で、多くの人の症状が改善しますが、症状が十分に治まらない場合、抗不安薬や抗うつ薬が処方されることがあります。また、漢方薬の六君子湯には胃の働きを改善する効果や食欲を増す効果があり、機能性ディスペプシアの症状を緩和できることもあります。

 

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取材・文/三村路子


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三輪洋人(みわ・ひろと)先生

兵庫医科大学理事・副学長。兵庫医科大学病院副病院長。内科学消化管科主任教授。1982年、鹿児島大学医学部卒業。医学博士。専門は、消化器内科一般のほか、特に逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、ピロリ感染症の診断と治療、また内視鏡による胃がんの早期診断と化学療法。著書に『「胃もたれ・胸やけ」は治せる 機能性ディスペプシア・胃食道逆流症・慢性胃炎』(NHK出版)ほか。

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