コロナ禍での外出自粛などで、いま全国のシニアがフレイル(要介護の前の虚弱状態)の危機にあります。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構の教授である飯島勝矢さんの著書『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(KADOKAWA)より、自宅でできる感染予防や、要介護予防についてご紹介します。
忘れてはいけない「骨」の健康。カルシウムとビタミンD・Kを補給
丈夫な骨や歯をつくるのもたんぱく質の仕事
骨がスカスカになる骨粗鬆症の危険性がわかる骨密度検査。
これは特に女性に必要な検査です。
女性は閉経すると女性ホルモンを失い、骨密度が急ピッチで減少します。
骨粗鬆症による骨折、寝たきりほど、男女差が激しいものはないといわれ、圧倒的に女性に多く見られます。
そして、骨をつくるのもたんぱく質の仕事。
医学の世界では「リザーブ」という言葉を使うことがあり、「ボーンリザーブ」とは骨の蓄えのことをいいます。
なるべく早くから、たんぱく質をはじめとする骨をつくる栄養素をとり、運動することや適度に日に当たることを習慣にし、「ボーンリザーブ」を十分に保持しましょう。
また、丈夫な骨や歯をつくるためにはカルシウムも必要。
ふだんは骨の中に貯蔵されていて、食事からとるカルシウム量が足りなくなると、骨から血液中に放出されます。
この状態が続けば、骨の貯蔵分のカルシウムが減少し、骨がスカスカになったり、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。
イライラや不眠、肩こり、腰痛、高血圧、動脈硬化、不整脈なども、カルシウム不足が原因のことがあります。
そして、ビタミンDとKも骨や歯を強くする栄養素です。
ビタミンDは日光に当たると皮膚で合成されるのが特徴。
女性は紫外線を嫌って日に当たるのを避ける人が多いでしょうが、骨の衰えを防ぐためには大切なこと。
食物からとり、日光浴で合成する2本立てにするとよいでしょう。
一方のビタミンKは、納豆に多く含まれる栄養素。
カルシウムが骨に沈着するのを助け、骨粗鬆症の予防に役立ちます。
ビタミンDが骨をつくるとともに、必要に応じてカルシウムが骨から放出されるのを促すのに対して、ビタミンKにはカルシウムが骨から出ていくのを抑制する働きがあります。
体内では腸内細菌によってビタミンKが合成されるので、不足する心配が少ない栄養素ですが、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草など、おなじみの青菜に含まれているので、食べる習慣をつけておけば、より安心です。
イラスト/中村知史
要介護の手前の「フレイル」状態を防ぐために自宅でもできる健康法について、5章にわたって分かりやすく解説