アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第7回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の肩こり」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になって肩こりがひどくなり、洗濯物を干すときに腕を上げるのが辛い、首から肩にかけてが常にガチガチにこわばる、などのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期は、ホルモンバランスの影響で肩こりを生じることがあります。
私の対応したお客様でも、急に肩こりがひどくなり肩から背中にかけての痛みで仕事もできなくなってしまったEさん(46歳、夫と中・高校生の息子2人の4人家族)がいらっしゃいました。
そんなEさんが漢方で肩こりを改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期は肩こりになりやすいってホント?その原因とは?
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性の体は、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
このホルモンバランスの乱れにより自律神経が不安定な状態になって血行不良になり肩こりを引き起こしてしまいます。
また、加齢によって首や肩を支える筋力が低下したり、目の疲れや老眼なども更年期の肩こりを悪化させる原因となります。
東洋医学では、肩こりは、肩の筋肉に緊張状態が続き血流が低下した状態、肩の筋肉や組織に気(生命エネルギー)や血(血液)がうまく供給できなくなった状態と考えています。
更年期の肩こりにはストレスによる気の滞りの影響も大きいです。
さらに冷えやホルモンバランスの乱れが重なって血の巡りが悪くなると筋肉の血流低下を引き起こし、肩こりが悪化するケースもあります。
2.「仕事ができないほど辛いなら、治療に専念したら?」とパートをクビに...
46歳女性Eさんのエピソードをご紹介します。
Eさんはご主人と野球部の中・高校生の息子2人の4人家族。
部活に励む食べ盛りのお子さんの食事やお弁当つくり、たくさんの洗濯物で大変だけど、子どもの応援が生きがいという女性でした。
最初に症状をお伺いしたところ、Eさんは昨年から生理が来ない月があるようになり、その頃から肩こりやのぼせなどに悩まされるようになったそうです。
最近では肩こりがさらに悪化し、肩だけでなく背中、首筋にも重い痛みを感じるようになり、痛みや重だるさと闘いながら、なんとか家事をこなしている状況でした。
「食品工場でのパートを2年ほど続けていたのですが、ライン作業だったんです。肩こりがつらくなってきて、肩や背中、首の痛みがひどくてうまく動かすことができず、ラインスピードについていけないことが増えてきました。
そのうち、若いパートさんから『いつもEさんのところで溜まってませんか?こっちもリズム乱れて困るんですけど、まさかサボってませんよね?』と言われるように...
挙句の果てにはマネージャーからも『体調が辛いなら仕事よりも治療に専念したらどうですか。うちも作業が遅くなると商品が規定数作れず困ってしまうので...』とやんわりと自主退職を勧められ、仕事をやめることになってしまいました。
肩こりがあまりにも辛い時は、整体院でマッサージに行ったりしていました。
整体師さんは『週に2~3回は通わないと、良くなりませんよ。ほら、ここもこんなに硬くなってる』なんて言いながら肩甲骨周りをグリグリっ。
『痛い!忙しくて通えなくて』と愛想笑いをしながらも、内心は『マッサージしてもらっても気持ちいのはその日だけで、どうせ明日にはまた痛くなる...料金も安くないし週に3回も通うお金の余裕はないわ』とイライラ。
少しでも痛みを改善したいと思って、自分でも肩叩き棒を使ったりしていますが、全く良くなりませんでした」
仕事を辞めた後も痛みは続き、毎日の食事の支度や野球部の息子さんの山盛りの洗濯といった家事も、休みながらでないとできなくなり、家族にまで迷惑をかけたくない、どうにかしなければとEさんは真剣に考えるようになったそうです。
そんなとき、Eさんはネットの記事で更年期が原因で肩こりになることもあると知り、近くの婦人科を受診しました。
漢方に詳しい医師だったので、症状に合った漢方を処方してくれたそうです。
「『痛みに漢方なんて効くのかな?』って思っていましたが、漢方を飲み始めてから2週間ほどで、あんなにつらかった肩や背中のはりが軽くなってきたんです!
気になっていたのぼせも感じなくなってきました。
主人や子どもたちにもかなり心配をかけたので、また家族のお弁当つくりも洗濯も難なくできるようになったのがとってもうれしいです。
運動も大切だと聞いたので、ヨガ教室にも通い始めました。今思うとあの職場はかなりストレスが多かったので、それも肩こりの原因だったんじゃないかと思っています。
漢方のおかげで肩こりもかなり改善してきたので、また新しい仕事も始めようかなとも考えています」
痛みから解放されたEさんは、元気な笑顔でこのようにお話をして下さいました。
3.更年期の肩こりは漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響の肩こりかもしれません。
<これって更年期の肩こり?チェックリスト>
□ のぼせやほてりを伴う肩こり
□ イライラや気持ちの落ち込みを伴う肩こり
□ 肩こりだけでなく、手指のしびれやこわばりもある
「この肩こりってもしかして更年期のせい?」
「体質改善して若いころの快適さを取り戻したい!」
そんな方におすすめなのが、漢方です。
更年期の不調には漢方が効くことが多く、更年期障害をきっかけに漢方を飲み始めたという女性は多くいらっしゃいます。
一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされておりますし、対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すものですので、同じ症状を繰り返したくない方に最適です。
また、健康的な食事やセルフケアを毎日続けるのは苦手という方も、医薬品として効果が認められた漢方薬なら、症状や体質に合ったものを毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
今回Eさんが服用した漢方は「加味逍遙散(かみしょうようさん)」という更年期の肩こりやイライラ、ホットフラッシュ(のぼせやほてり、多汗)の症状によく使われる漢方でした。
加味逍遙散は乱れた気のバランスや血の巡りをよくして、血行を改善し肩こりを和らげます。
更年期の肩こりの改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
●頭痛や生理痛などもあり重い肩こりの方に:桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
滞った血を巡らせて血行がよくして肩こりを改善します。
●頭痛やしびれを伴う、首から肩にかけて凝りがひどい方に:柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
気の巡りをよくして自律神経の緊張を緩和し、筋肉の緊張をゆるめ、肩こりを和らげます。
なぜ何種類もあるのかというと、同じ肩こりであっても、体質や体型などによって、有効な漢方が異なるためです。
体質に合っていない場合は、効果が出ないことや、副作用が出ることもあります。
購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
自分に合った漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」など、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.漢方でツライ肩こりを解消して、更年期を元気に過ごしましょう!
最近、肩こりがひどくなってきた、首から肩、背中にかけてガチガチにこわばっている、痛くて肩があがらない...
その痛みは、女性ホルモンの減少で起きる更年期障害が原因の可能性もあります。
体のバランスを整える漢方で、辛い肩こりを解消して更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!