アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、治療法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第2回は、あんしん漢方(オンラインAI漢方)のアドバイザーを務める、医療・健康ジャーナリストの後藤典子さんの「ご自身の実体験」をご紹介します。
こんにちは、医療・健康ジャーナリストの後藤です。
40代になり、急に汗をたくさんかくようになった...という方。
それはもしかしたら更年期特有の症状かもしれません。
更年期の症状は、漢方で楽になりますよ。
私の実体験を通して、有効な改善策をお伝えいたします。
1.更年期に汗をかく原因って?
更年期とは、閉経をはさんだ前後の5年ほど、約10年間の時期を指します。
一般的には40代後半から50代中盤のことが多いですが、この時期の女性の体は、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少します。
すると、ホルモンバランスが乱れ、自律神経が不安定な状態になってしまいます。
自律神経には、血管の収縮と拡張をコントロールして体温を調節するはたらきがありますので、ホルモンの影響でそのコントロールが乱れると汗の調節がうまくできず、たくさん汗をかいてしまうことがあるのです。
これは更年期特有の症状として、ほてりやのぼせなどとあわせて、「ホットフラッシュ」と呼ばれています。
<これって「更年期の汗?」チェックリスト>
□冷房の効いた室内でも自分だけが汗をかいている
□以前よりも汗で化粧が崩れやすくなった
□上半身が汗でじっとりと暑くなることがある
□少し動いただけでも頭から汗が流れ、襟足が濡れてしまう
2.人前でも突然襲ってくる「汗」!
私の更年期は50歳を挟んだ前後10年間でした。
今も記憶に残っているのは、打合せしているときに、何気ない会話だったのですが、なぜか急に顔がほてって、額やこめかみに汗がにじみ出てきたのです。
鏡で見たわけではありませんが、きっと頬は上気して赤くなっていたはずです。
これが初めて経験したホットフラッシュですが、当時はそれが更年期症状だとは思ってもみず、まるでウソを見透かされて動揺しているかのような自分の状態に、ひたすら戸惑い、そのときのバツの悪さと言ったらありません。
何か悪だくみか隠し事でもしていてバレたような、そんな風に勘ぐられかねない自分のありさまに焦ってしまい、ますます汗をかいて、顔がほてっていくのを止めようがありませんでした。
できればここから逃げ出してしまいたい!と思ったものです。
同じような経験はその後も何度かあり、だんだん仕事で人と会うのが怖くなってしまい、自分に自信が持てなくなっていきました。
突然やって来るこの汗とほてりに、どう対処してよいのか?いったい何が原因なのか?もしかしたら心の病!?なんて考えたり。
3.原因が「更年期」と知った安心感
そんなときある雑誌で見つけた「更年期の症状」という記事を読んでみたら、まさに私の症状にピッタリ当てはまる。
更年期なんて他人事だと思っていたのに、私を悩ませているこの症状こそが「ホットフラッシュなんだ!」と知った時の驚きとともに、大きな安堵感。
ようやく相手の正体を見つけた、という安堵感だったのです。
正体が分かれば、正しく理解し、対策もとれます。
つまりホルモンバランスによって自律神経の乱れが起こり、それが血管の収縮や拡張に影響し、おもに首から上に症状が出るわけです。
なので留意したことは、まず服装。
冬でしたが、首周りのゆったり空いた服を着るようにして、できるだけ首筋を冷やすようにしました。
また、更年期になれば経験することだから、と居直って、外出先で症状が現れた時にも焦らないで深呼吸するとか、お気に入りのアロマオイルを浸み込ませたハンカチを嗅ぐとか、急場しのぎの対応策をとりました。
4.サプリと生活習慣の改善で良化したけど...
知り合いのドクターに相談したら、ホルモン補充療法が手っ取り早いと勧められたのですが、いろいろ思案した結果、サプリメントを利用してみようと思い、血流改善のためのビタミンEとEPA・DHA、女性ホルモン調整作用が期待される大豆イソフラボンをしばらく飲んで様子をみることにしました。
数か月ほどは生活習慣にも気を配り、できるだけ早寝早起きに努め、近所を1時間ほど散歩するという日課も励行し、その甲斐あって、次第に症状は気にならなくなっていきました。
ただ、人間ってものは悩みがなくなると辛い時のことを忘れ、セルフコントロールが効かなくなるようで、数年後、再び乱れた生活習慣と過度のストレスを招き、具合が悪くなるまで気づかなかったのです。
5.再び訪れた不調を改善してくれた「漢方」
再び訪れた不調は、毎朝のようにやって来る頭重感とだるさ、毎晩ではないものの、度々のひどい寝汗。
仕事にも支障をきたすようになり、総合病院を受診したのですが、検査には何ら異常なし。
気休め程度の薬を出してはもらったものの、症状は変わらず。
そこで、漢方を試してみようと思い立ち、ネットで見つけた「漢方を処方してくれるクリニック」を訪ねたら、まず「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」を処方され、数日飲んだところ、症状は改善するどころかますます悪化し、それを医者に伝えると「3か月は続けましょう」と指示されたので、他を当たることに。
再びネットで見つけた人気の漢方医を訪ねたが、今度は「加味帰脾湯(かみきひとう)」を処方され、それを2週間飲んだところ、これまで以上の倦怠感を感じ、それを医者に訴えたところ、「効くはずです。もう2週間続けてみましょう」と言われ、薬をもらわず帰宅。
漢方は当てにならないな、と思い始めていたとき、ちょうど漢方相談をしていた知人に話したところ、「漢方薬は同じ症状でも人によって処方が違うので、しっかり合うものを服用しないとそういう羽目になる」と聞かされ、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」と「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」を試してはどうかと言われました。
3度目の正直を期待して飲んでみたところ、なんと!服用した翌朝に、すべての症状が消えてしまっていたのです。
これには驚いたばかりか、気のせいじゃないかと疑ったほどでした。
もちろん気のせいではなく、その後、すっかり症状は改善し、服用量を減らしながら3か月ほど継続服用して、今は、さらなる健康維持のために、数種類の漢方薬を状態に応じて飲み分けられるようになりました。
たまに顔を出す更年期症状や季節の変わり目の体調不良を、自分に合った漢方薬を使い分けてコントロールできるようになるというのは、じつに心地よく、健康への安心感と感謝の念を、日々、強くしています。
6. 更年期の汗や頭痛に使われる「漢方薬の種類」
私の場合は、紆余曲折ありながら、更年期の症状に功を奏したのは「当帰芍薬散」と「柴胡加竜骨牡蠣湯」でしたが、一般的には、更年期の汗や頭痛には、以下のような漢方薬がよく使用されます。
① 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
比較的体力が乏しく、冷え症で貧血の傾向があり、疲労しやすい方に向きます。めまい、頭重の改善にも。
② 加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲れやすく、精神が不安定だったり、便秘がちな方に向きます。冷え性の改善にも有効です。
③ 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
肩こりや頭が重い、めまいなどの症状がある方に向きます。霜焼けやシミの改善にも使用されます。
④ 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
のぼせやすく便秘がちな方に向きます。腰痛、便秘、頭痛、めまい、肩こりにも有効です。
漢方とは、対症療法的にその瞬間だけ汗を止めたり頭痛を和らげるというものではなく、汗がたくさん出てしまったり、頭痛が生じてしまう根本原因を改善するよう、体質に働きかけるものです。
しかも、忙しい中毎日大豆で料理を作ったり、苦手なのに無理して運動をする必要もなく、医薬品として認められている漢方薬なら、飲むだけで効果を実感できるので継続しやすいのも特徴です。
仕事や家事で忙しいとあまり調理や運動の時間がとれないと思いますので、忙しい女性には嬉しいですよね。
ただし漢方薬は自分の体質に合ったものを選ぶ事が大切です。
体質に合っていない場合は、私が体験した通り、効果が出ないことや、副作用が出ることもあります。
購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師等に相談されるのがおすすめです。
自分に合った漢方薬が知りたいけど、近くに漢方専門薬局がない...という方には、インターネット上で漢方の専門家に相談できるオンラインAI漢方もおすすめですよ。
7.「更年期」の改善の一歩は「自身の変化に気づくこと」
更年期には、自分で思うようにならない不調が生じて辛いときもあります。
まずは自身の変化に気づくことが改善の一歩。
治す方法はありますので、諦めないでサプリメントや漢方薬を試したり、生活習慣の見直しをしてみてくださいね。
治ると、不安だった日々が自信に満ちたものになり、きっと人生の可能性が広がることでしょう。