精神科医も驚いた!「読み書き×、運動×」学習障害の6歳児を優等生にした栄養療法の症例

心を蝕む「うつ」。それはストレスだけでなく「"質的な栄養失調"が引き起こすこともある」と栄養学に精通する精神科医・藤川徳美さんは言います。そんな藤川さんの著書『うつ消しごはん』(方丈社)から、実際に行ったサプリメントを用いる栄養療法「メガビタミン療法」で回復した症例エピソードを抜粋してご紹介します。

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※症例の血液検査が示す数値などについて......症例の中には、受診時の血液検査の数値が頻繁に登場します。栄養療法を実践するにあたり、タンパク質や鉄の充実度を測る指標にするためです。よく出てくる検査項目についてはエピソードの下で解説しています。

【症例】学習障害(LD)の男の子、6カ月で優等生になった

平成29年9月、30代後半のお母さんが学習障害(LD)と診断されている6歳の男の子と共に受診しました。

私のFacebookの記事および前著も読んで、少し前から高タンパク/低糖質食を開始していました。

男の子は110cm、18.4kgの小学1年生。

学習障害(LD)と診断されています。

言葉の遅れがあり、発語も不明瞭です。

まだ平仮名の読み書きができず、国語も算数もテストはほぼ0点だといいます。

また、手先も器用ではなく、よく気が散りボーッとしていることから、転倒することが多いとのこと。

体幹が弱く、ダンスなども含めて運動は苦手でした。

血液検査の結果、BUN18.7、フェリチン20でした。

プロテイン10g×2、キレート鉄であるアドバンストフェロケル27mg×2~3錠、ビタミンB50、ナイアシン、ビタミンC、ビタミンEを開始しました。

そして12月に再診。

なんと、劇的に元気になっていたのです。

友人との会話が上手にできるようになり、コミュニケーションが円滑にとれるようになりました。

体の動きがしっかりして、上手にスピーディに走れるようになりました。

そして、勉強に集中できるようになり、根気もつづくようになったのです。

まず、漢字テストの点数が大幅に上がりました。

血液検査の結果も、BUN26.7、フェリチン167と上昇しています。

ナイアシン500mg×2+ナイアシンアミド500mg×2を飲み、鉄は満たされてきたので、現在のフェロケル2~3錠を隔日1錠に減らすよう伝えました。

そして平成30年4月に再受診。

なんと文字の読み書きができるようになり、分厚い本もすらすら読めているとのことでした。

国語も算数も80~100点を取れるようになっていました。

優等生レベルです。

運動もほかの子どもたちと同じように普通にこなせるようになりました。

とはいえ、まだ手先は不器用で、ほかの子らとの協調性もいまひとつとのこと。

血液検査はBUN17.4、フェリチン150としっかりしてきました。

半年前に比べて体重は3kg増えています。

プロテイン20~30g、ビタミンは、A、B、ナイアシン、C、D、Eを服用。

B100×2、C4~5g、E400IU。

以前はナイアシン1g+ナイアシンアミド1gでしたが、吐き気が出たことから、現在はナイアシン1g。

レシチン、オメガ3、鉄剤も服用しています。

半年で劇的な改善をしたのには私も驚きました。

テストも高得点をとれるようになり、少し前までいつも0点だったとは思えません。

ほかのADHD(注意欠陥・多動性障害)、LDと診断された症例でも、苦手だった読み書き、漢字が2~3カ月で改善する例は多いのです。

協調運動や運動神経が改善するにはもう少し時間がかかるのも、ほかの子と同じです。

プロテイン体重×1g以上、B、ナイアシン、C、Eメガ量が最も効果があります。


※症例の血液検査が示す数値などについて

「一般的な基準値」というのは、健康な人の多くの検査データをもとにして、統計学的に求められた数値のことで、95%の人が基準値の範囲に該当しているといわれています。なお、BUN(尿素窒素)とMCV(赤血球恒数)、およびフェリチンについては、当院独自の基準で判断しておりますので、「当院の目標値」として記しておきます。

・BUN(尿素窒素)......血液中の尿素に含まれる窒素成分のことです。高い場合は腎機能障害、基準値未満はタンパク質摂取不足です(重症の肝機能障害のときにも低くなります)。一般的な基準値8~20(mg/dl)、当院での目標値15~20(mg/dl)。

・RBC(赤血球数)......赤血球の数で、基準値未満は貧血が疑われます。一般的な基準値 男性:430~570(万個/μl)女性:380~500(万個/μl)。

・HGB(ヘモグロビン)......血液中の鉄の量で、基準値未満は貧血が疑われます。一般的な基準値 男性:13・0~16・6(g/dl)女性:11・4~14・6(g/dl)。

・MCV(平均赤血球容積)......赤血球の大きさで、基準値未満では鉄欠乏性貧血が疑われます(鉄欠乏性貧血=小球性貧血)。逆に大きすぎる場合(大球性貧血)には、ビタミンB12不足、葉酸不足が疑われます。一般的な基準値80~100(fl)、当院での目標値95~98(fl)。

・フェリチン......鉄分を貯蔵しているタンパク質の量です。一般的な基準値 男性:20~220(ng/ml)女性:10~85(ng/ml)、当院での目標値100(ng/ml)。

・メガビタミン療法......ビタミンやミネラル、プロテインなどのサプリメントを活用した栄養療法の考え方。

・ATP......アデノシン三リン酸。生体内のエネルギーを貯蔵したり、供給したりする、生きるための「エネルギー通貨」とも呼ばれる。「ATPセット」は、ATPをつくるためのサプリメントの組み合わせ。


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精神科医も驚いた!「読み書き×、運動×」学習障害の6歳児を優等生にした栄養療法の症例 113-H1-utsukeshigohan.jpg薬に頼らない栄養療法メソッドを全5章に渡って解説。著者が行う「メガビタミン療法」のサプリレシピも収録

 

藤川徳美(ふじかわ・とくみ)
1960年広島県生まれ。医学博士。1984年広島大学医学部卒業。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」を開院。うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見。著書に『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(光文社新書)などがある。

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『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』

(藤川徳美/方丈社)

やる気がない、目覚めが悪いなど体の不調は、あなたが摂っている「栄養の質」が悪いからなのかもしれません。何をどれだけ摂ればいいのか、どんな栄養が体にいいのか、薬に頼らず病を改善させる栄養療法をまとめた、心と体の処方箋です。

※この記事は『うつ消しごはん タンパク質と鉄をたっぷり摂れば心と体はみるみる軽くなる!』(藤川徳美/方丈社)からの抜粋です。
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