早い=寿命が短い!? 心臓のポンプ活動を映す「脈拍」の正しい測り方/やさしい家庭の医学

早い=寿命が短い!? 心臓のポンプ活動を映す「脈拍」の正しい測り方/やさしい家庭の医学 pixta_22853433_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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脈拍が早いと寿命が短い!?

「脈拍」

●「脈拍数」=「心拍数」

病院で検査を受けるとき、まず最初に調べられるのは血圧と脈拍数でしょう。脈拍数を知ることは、医師が診察をはじめる際の患者さんのデータとして、大前提として知っておきたい情報といえます。「脈拍」とは、心臓が規則的に収縮して血液を押し出すたびに動脈へ伝わる周期的な運動のことをさします。単に脈ということもあります。脈拍数は、一般的には手首の内側で1分間に数えられる脈の数で、先述のように、脈拍は心臓が血液を送り出す数ですから、心拍数と同じ数といえます。

正常な脈拍数は、通常、1分間に成人男性で65~75回、成人女性で70~80回、児童で80~90回、幼児で110~120回、新生児で130~140回、高齢者で60~70回とされています。脈拍数が多いものを頻脈(ひんみゃく)、少ないものを徐脈(じょみゃく)といい、成人の場合、頻脈は90以上、徐脈は50以下とされることがあります。

人や動物などのほ乳類には「心拍数一定の法則」というものがあります。つまり、体が大きくても小さくても、人や動物が一生のうちに打つ心拍数の数は同じ、ということです。この心拍数は、一説によると約20億回といわれています。

これより考えると、脈の早い動物は寿命が短く、脈の遅い動物は寿命が長いということになります。たとえば、ゾウは一般的に寿命が長いといわれていますが、このゾウの生態は心拍数から捉えると納得できるでしょう。

また、デンマークでの研究結果によると、健康であっても、心拍数が多い人ほど死亡リスクが高まるというデータも出ています。寿命と心拍数には、何らかの密接な関係性がありそうです。

脈拍数を計る部位は、手首の内側(とう骨動脈)、上腕の内側(上腕動脈)、下あごの下(総頸動脈)の三つがあります。手首の内側は、手首のはじまりの辺りから1~2センチの箇所で、人差し指の延長線上で計り、上腕の内側は、ひじが折れ曲がる辺りから1~2センチの箇所で計ります。下あごの下は、下あごの骨の左側辺りで計ります。

脈拍数は、興奮したり緊張したりすると増えますし、座った状態よりも立った状態のほうが脈拍数は多くなりますので、座った状態で計るのが望ましいでしょう。

子どもなど、1分間じっとしていることができない場合は、30秒計って2倍するとよいでしょう。また、2回計って平均値を取るとより正確に計ることができます。

 

関連記事「正常な「脈拍」と三つの「不整脈」。それぞれの違いをチェック/不整脈」はこちら。

 

中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。


 

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』

(中原英臣[監修]/KADOKAWA)

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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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