世に溢れる多くの「ダイエット本」。あなたもそれらのダイエット本を読んで様々なダイエット法を試してみたのではないでしょうか。しかし、食べるのを我慢してすらやせなかったのは、あなたの腸に「おデブ菌」がしっかり棲みついているからかもしれません!
腸内環境・腸内フローラを健康に保てば、あなたも「やせ体質」になれる可能性が......!
5分で作れる「酢玉ねぎ」やヨーグルト由来の「ホエイ」などを使って健康的にやせる、画期的「ダイエット」法です。
※この記事は書籍『1000兆匹の腸内細菌を使って10キロ楽にやせる方法 ヨーグルト・ホエイと酢タマネギが効く!』(藤田 紘一郎/KADOKAWA)からの抜粋です。
前の記事「腸内細菌は善悪だけじゃない。「やせ菌」を増やすカギは「日和見菌」でした!/10キロ楽にやせる(6)」はこちら。
◎最近明らかになった「おデブ菌」の存在
「酢タマネギ」で自然にやせられる最大の理由は、「やせ菌」を増やして、「おデブ菌」を大人しくさせることにあります。こうお話をしてきましたが、実は、「おデブ菌」の存在は、最近明らかになったばかりなのです。
そのひとつとして、ワシントン大学のJ・ゴードン教授の2006年に発表された興味深い研究報告があります。
「太ったマウスから腸内細菌を採取して、別のマウスの腸に植え付ける」と、「普通の体型のマウスから腸内細菌を採取して植え付ける」ときよりも、同じ量のエサでも前者のマウスの方が太りやすくなったのです。
このような研究から、太った人が一生懸命に食事制限をしても、「おデブ菌」が多く存在しているかぎりは、やせにくいことがわかりました。
近年、腸内細菌について、人間での研究も盛んに行われています。
私たちは、生まれたときから腸内細菌を取り込み、生後10か月ほどで腸内フローラを持つようになります。同じ環境で生活をする親子や兄弟姉妹は、腸内フローラが似たように形成されますが、決して同じにはなりません。それが腸内フローラの複雑で興味深いところなのですが、まるで「指紋」のように、ひとりずつ異なっているのです。
そこで、病気の人に健康な人の腸内細菌を「移植」する研究が進められています。「糞便(ふんべん)移植療法」といって、親族の糞便を採取してろ過し、患者さんに腸内細菌の一部を移植する研究が行われているのです。
海外では、糖尿病のお母さんに対し、娘さんの便を用いた「糞便移植療法」を行ったところ、お母さんの糖尿病は改善されたのですが、肥満の娘さんと同じようにお母さんも太ってしまったとの報告があります。
糖尿病でない娘さんの腸内細菌を移植したので、お母さんの糖尿病は改善しました。でも、娘さんが太っていたため、その腸内細菌を移植されたお母さんも太ってしまったのです。
しかも、「おデブ菌」の仲間には、がんを誘発する物質を出す菌もいます。
●太って病気になりやすいのは、腸内フローラが関係しています
とはいえ、ご心配には及びません。ご自身の生まれ持った体質ではなく、腸内細菌が関係しているのであれば、腸内細菌がいい働きをするように導けばよいのです。「酢タマネギ」が、その方法として最も適しているのです。
◎おデブ菌が多い人、少ない人はここが違う
「おデブ菌」は、誰もが持っている可能性があります。でも、「おデブ菌」が活発な人とそうでない人がいます。「おデブ菌」が活発な状態では、当然のことながら太りやすくなります。それには、生活環境が関係していることがわかってきました。
フィレンツェ大学のC・フィリッポ博士らの研究では、「アフリカ先住民の子ども」と、「都市生活をしているイタリアの子ども」の腸内細菌は、勢力図が異なっていました。
アフリカの先住民の子どもたちは、「バクテロイデス門」が多く、細菌の数や種類も豊富で、善玉菌も優位になっていました。一方、イタリアの子どもたちは「フィルミクテス門」の細菌が優勢だったのです。
イタリアの子どもたちは、パンやパスタなどの炭水化物が多く、また肉類などの脂肪分も多い食事をしています。アフリカの先住民の子どもたちは、自然から採取する野菜や果物、肉類などを食べています。このような生活環境の違いによって、腸内細菌の勢力図が変わることがわかりました。
さらに、さまざまな研究によって、おデブ菌は「フィルミクテス門」に存在することが明らかにされたのです。炭水化物や脂肪分の多い食生活では、おデブ菌が増えやすいのです。
ただし、「フィルミクテス門」にもたくさんの細菌の種類がありますので、無闇に敵視はできません。太古の昔、人間が生き延びるために、力を貸してくれていた可能性があるのです。
かつて人間は、今のように毎日食事ができる環境ではありませんでした。果物や木の実、動物などを採取して食べていて、それらが入手できないこともあったのです。人間の体は、常にエネルギーを必要としています。食べられないときのために、余分なエネルギーを脂肪(白色脂肪細胞)に蓄える仕組みを持ったのです。
フィルミクテス門の細菌は、わずかな食事でもエネルギーに変えて腸から吸収させ、脂肪に蓄えるように仕向けます。食べ物の乏しい原始時代の人間にとっては、ありがたい仕組みですが、飽食の時代の私たちには、肥満に結びつきやすくなってしまいました。
原始時代から培(つちか)われてきた腸内細菌と人間との共存関係は、現代の食生活にも影響を与え続けています。だからこそ、意識して食事を見直すことが重要になります。
スリムな体型と健康を維持するには、アフリカの先住民の子どもたちのように、バクテロイデス門が多くなければなりません。それには、食事制限ではなく、バクテロイデス門を活性化させる食材が必要なのです。
フィルミクテス門は、食物繊維が少なく高カロリーの食事で増えやすくなります。
一方、バクテロイデス門は、たっぷりの食物繊維と低カロリー食で活性化されます。バクテロイデス門の細菌こそが、「やせ菌」です。
「酢タマネギ」は、オリゴ糖と食物繊維で、「やせ菌」を増やすことができるのです。