「老後資金、年金だけで大丈夫?」「今の貯金で足りる?」など、仕事をリタイアした後のお金の不安はありませんか? そう思った今が一歩踏み出すタイミングかもしれません。そこで今回は、『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』(KADOKAWA)の著者であり、元銀行員の資産運用Youtuber、小林亮平さんに50歳からの資産形成術を聞きました。
投資は50歳からでも遅くはない
まず結論、私の考えとしては、投資に興味があるなら、50歳からでも始めてみるのがいいと思います。
たしかに投資は短期的な売買を行うトレードなどの投機とは違い、10年、15年、20年と長い時間をかけて値上がり益を狙うものなので、50歳の方は若い人に比べて、どうしても運用期間が短くなってしまう点で悩みがちです。
しかし、今は人生100年時代とも言いますし、もしかしたら思いのほか運用を長く続けられることもあるかもしれません。
なぜ、運用期間は長い方がいいのかというと、以下の資料を見て下さい。
これは1950年〜2020年で米国株式の代表的な株価指数S&P500に投資した時の期間と年間の平均リターンの幅です。
ようするに、米国を代表する企業500社に分散投資をした際、運用期間の違いによって、年平均にてどれほど利益が変わってくるかを示すものだと思えばいいでしょう。
期間1年だと-38.5〜+45.0%と、大きく利益が出た年もあれば大きく損した年もありましたが、15年運用すれば+0.9%〜+15.6%と、年平均のリターンの幅が小さくなり、どの時期に投資してもプラスになりました。
(出所)Yahoo!ファイナンスより筆者作成。対象期間は1950~2020年で、S&P500の各年の年末終値を使用
※『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』より
このように長期投資の年平均のリターンは安定する傾向があるので、出来る限り長く運用を続けたいところです。
もちろん過去のデータなので未来の保証にはなりませんが、仮に50歳で投資を始めて、老後の年金資金作りを目的に65歳まで運用を続ければ、約15年間と比較的長い運用期間が確保できるので、利益もそれなりに期待できるでしょう。
こうして考えると、50歳から投資を始めても、けっして遅すぎることはないかと思います。
退職金の運用で失敗しないための経験にもなる
50歳から投資を始めるその他のメリットとしては、今後、定年退職して受け取った退職金の運用で失敗しないための経験を積める点もあるでしょう。
退職金を受け取ると、銀行や証券会社などの金融機関から、資産運用の案内が届くことがあります。
このような案内に掲載されている商品は手数料が比較的高いケースが多いため、そもそもあまりおすすめではないのですが、金融機関から提案されるがまま、退職金として受け取った資金をまとめて運用に回してしまう人も多いです。
その結果、株価の暴落などの際に、自分の予想以上の損失を抱えてしまい、怖くなって投資をやめてしまう、という話をよく聞きます。
この失敗例における問題点としては、そもそもいきなり大きな資金で始めてしまったことや、自身であまり調べずに金融機関任せで運用してしまった点などが挙げられるでしょう。
このような事例は本当に多く聞くので、今後、退職金を受け取った際に、資産運用で失敗しないためにも、50歳からでも少しずつ経験を積んでおくのは非常に大事と言えます。
最初は少額投資から始めよう
では、実際に50代で投資を始める際の注意点もお話しします。
先ほどの退職金の失敗例にも繋がりますが、最初は月1,000円など、少額から投資を始めることを心がけましょう。
なぜ少額から始めるのがいいかと言うと、損失で考えた時に、精神的に余裕を持ちやすいというメリットがあるからです。
仮に100万円投資したとして、暴落が来て30%のマイナスになった際は30万円もの含み損が出てしまうと、不安に感じて相場がやたら気になってしまう人も多いはずです。
最初にお話しした通り、投資はとにかく長く続けることが大事なのですが、怖くなって運用をやめてしまう人も出てくるでしょう。
一方、1,000円の投資なら、30%のマイナスでも300円の損失で済むため、比較的落ち着いて運用を続けられるはずです。
このように投資額を少なくすれば、それだけ金額面での損失を抑えることができて精神的にも余裕を持ちやすいので、投資初心者は少額投資から始めるのがおすすめです。
投資額を増やせば、それだけ大きくプラスになるかもしれないのですが、反対に大きくマイナスになる恐れもあるため、最初は小さく始めてみるのを心がけましょう。
その後、運用に慣れてきたところで投資額を増やすことを検討してみて下さい。
いかがだったでしょうか。
50歳からでも投資を始めるのはけっして遅くありませんので、興味があれば月数千円のおこづかい程度からぜひ始めてみて下さい。
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