夫の定年後、「夫の実家に戻る」か「妻の実家に戻る」か...豊かな暮らしができるのはどっち?

今、多くの人が「老後にお金に困らない生活を送りたいけど、ちょっと不安...」と考えているのではないでしょうか? 元銀行支店長で、3万人以上の相談に乗ってきたお金の専門家・菅井敏之さんは、お金を増やすポイントを「毎月の収支バランス」「親子財産の連結」「不動産を含めた資産活用」だと語ります。そこで、菅井さんの著書『一生お金に困らない!新・お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)から、保険の見直し方やセカンドライフの考え方、夫婦で協力する貯金術など「お金が貯まる超基本」をご紹介します。

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【質問】定年後の第二の人生、「夫の実家に帰る」、「妻の実家に帰る」、どっち?

企業や役所で30年、35年とまじめに働きつづけた人は、都心は難しいとしても、郊外に戸建てか3LDKマンションを持っています。

そして、「田舎で、農業でもやってのんびり暮らしたい」と考える人が、自営業や自由業の人より多いようです。

ところが、奥さんが、あまりいい顔をしません。

「いいわよ。あなただけ行ってきなさいよ」なんていわれて、「じゃあ、あきらめるしかないか」となる人がかなりいます。

夫には仕事関係の人脈がありますが、定年後は細くなっていきます。

ところが妻は、ご近所、子育て(幼稚園・保育園や小中学校)、パート勤めなどで地元の人脈をしっかりつくっていて、これは夫の仕事と関係なく続きます。

地元に友人知人が多く、店や居酒屋や医院も知っています。

観劇、趣味の集まり、女子会(飲み会)など楽しい予定も詰まっています。

ですので、「なんで田舎に行って、あなたの親戚と付き合わなければいけないのよ」となるでしょうね。

こういう相談をたくさん受けてきました。

そのとき私は、まずこう話します。

「ご主人の田舎に帰るのではなくて、奥さんのほうの田舎に帰りませんか?」と。

地方に奥さんの実家があって両親もいれば、奥さんは自分の親の世話で自宅と実家を行ったり来たりしなければなりません。

その地方には奥さんの幼なじみや同級生がいます。

ならば、「田舎で農業がしたい」と思うご主人は、奥さんに「きみの実家のほうに帰るというプランはどう?」という方向に話をむけたほうが、自分の夢が実現する可能性が高いでしょう。

奥さんの実家近くに帰るのであれば、奥さんは、気がかりな自分の親の世話や介護ができます。

地方に帰る最大のメリットは、月5万〜6万円も出せば、近くにスーパーがあって築年数も浅い、小ぎれいな2DKの賃貸アパートで暮らせることです。

そこに住んで中古車を買っても、駐車場代は月5000〜6000円という世界です。

そのとき、自分が所有するマンションは、売らずに貸し出せばよいのです。

月10万〜12万円くらいで貸すことができれば、地方で家賃を払っても5万〜7万円くらい残りますね。

さらに年金が入りますから、その分もプラスされます。

住宅ローンが残っていたらアパートローンに変えましょう。

貯金に余裕があれば、奥さんの実家近くで中古一戸建てを買ってもいい。

300万〜400万円ほどで手に入り、リフォームしても数十万円なら、おすすめできます。

ただし、いきなり購入ではなく、お試しとして賃貸からをおすすめします。

農業もいいが、じつは地方は東京の人材を必要としている

ご主人の夢である農業については、どうでしょう。

地方都市ではどこでも10分も車を走らせたら、畑や田んぼが広がり、放置耕作地もたくさんあります。

町・村役場に相談に行けば、新規農業の補助金制度のことなどを、あれこれ教えてくれます。

定住政策があって、家賃やリフォームに補助金が出るところもあります。

じつは地方は、「大都市のスキルや人脈」を持つ人を求めています。

仕事や陳情で東京に来る地方の人は、ビジネスホテルに泊まってとんぼ返り。

東京に人脈はないし、JRとメトロをどう乗り継げばどこに行くかもよく知りません。

ところが、東京に人脈があって、東京のことをよく知っている人が地方に行くと、とても重宝されます。

地方では、その人の「市場価値」は、自分が思っているよりもはるかに高いのです。

これは、私自身が地方出身者で、ときどき、地元に帰っているからこそ、気づいたことでもあります。

ですから、「地方で畑仕事」もいいけれど、「地方で中小企業の働き口を探す」という選択肢もあります。

「営業部長になってくれないか」という話が、見つかるかもしれません。

地方の会社は、人手不足で人材不足、とりわけ後継者不足に悩んでいます。

「地元の国公立大学出が、1人でいいから来てくれないかな」と、社長がここ30年ずっと思っているのに実現しない中小企業は、数えきれないほどあります。

この意味で地方は、大きなフロンティアともいえるのです。

ご主人の夢だという農業は、じつは本人が「土いじり」をしたいだけかもしれません。

長年、都会で働いてきたから、そろそろ田舎に帰りたいと思っているのです。

でも、実際ご主人が田舎に帰って農業を始め、明け方から晩までずっと働いてみれば、2〜3年たって「9時〜5時の仕事のほうが、やっぱりオレには向いてるかも」なんていいだすかもしれません。

そうならないように、ゆっくり時間をかけて、さまざまな可能性や選択肢を検討してください。

【答え】夫の夢が定年後の「田舎暮らし」「農業」なら、妻の実家に帰るほうがうまくいく。都会にある家は売らずに貸し出すことで、定期収入を得られる。地方では農業以外の働き口が見つかるかも。

【まとめ読み】「新・お金が貯まるのは、どっち!?」記事リスト

夫の定年後、「夫の実家に戻る」か「妻の実家に戻る」か...豊かな暮らしができるのはどっち? H1_一生お金に困らない!新お金が貯まるのは、どっち!?.jpg借りる側と貸す側を経験したお金のプロが「お金の新常識」を全4章に渡って指南

 

菅井敏之(すがい・としゆき)
三井銀行(現・三井住友銀行)で個人・法人取引、プロジェクトファイナンス事業に従事し、支店長も歴任。48歳で起業してアパート経営に力を入れ、現在は10棟70室のオーナーとして年間6000万円の不動産収入を持つ。資産形成のための銀行活用法や不動産解説には定評があり、講演やセミナーに引っ張りだこ。著書『お金が貯まるのは、どっち!?』(アスコム)はベストセラー

【公式サイト】http://toshiyukisugai.jp/

【YouTube公式チャンネル】https://www.youtube.com/channel/UCpHm_yiwoXCZdasz_WBUoaw

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『一生お金に困らない! 新・お金が貯まるのは、どっち!?』

(菅井敏之/アスコム)

元銀行支店長の、不動産賃貸オーナーが最新の「お金を増やす超基本」を大公開!日常生活で気をつけたいお金活用術から将来を見据えた資産運用の考え方、また収支バランスの資産的見方までをわかりやすく解説しています。3万件以上の相談から生まれた前作『お金が貯まるのは、どっち!?』に続く、お金本の話題作。

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※この記事は、「一生お金に困らない!新・お金が貯まるのは、どっち!?」(菅井敏之/アスコム)からの抜粋です。

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