人生100年時代になれば、定年後にも30年以上の生活が待っています。10年先、20年先に使うお金であれば、積立投資を考えてみてはどうでしょうか。社会保険労務士、年金アドバイザーの清水典子さんに、年金生活でも無理せず始められるお金がたまる貯蓄術を教えていただきました。
その1 人生100年時代の賢い積み立てプラン
「NISA(ニーサ。少額投資非課税制度)」や「つみたてNISA」を利用すれば非課税で運用可能です。特につみたてNISAは金融庁が厳選した投資信託のみ扱っています。
中には「たわらノーロード 最適化バランス」のように、一つの商品でリスクの異なる複数の投資信託をそろえているものもあります。まずは自分の許容できるリスクに応じた商品で積立投資にチャレンジして、慣れたら高いリターンが期待できるもの に乗り換える方法もあります。
金融庁が選定したつみたてNISA対象商品で自分が許容できるリスクに合わせて選択できる投資信託。 問い合わせは各銀行、証券会社などへ
その2 楽しみなら運用できる懸賞金付き定期預金
現在、定期預金に預けても1年もので年0.01%程度の金利しかつきません。これでは100万円を1年預けても利息は100円です。かといってリスクのある商品は抵抗がある――。そんな人でも利用しやすいのが懸賞金付き定期預金です。
※いずれも1口=10万円。取扱期間=2019年4月1日~9月30日。問い合わせは各信用金庫へ
定期預金ですから元本割れの心配はありませんし、運が良ければ懸賞金が当たるという商品です。
例えば城南信用金庫の「スーパードリーム」は、最高100万円の懸賞金が受け取れます。
懸賞金が当たらない場合でも、通常の定期預金と同じ金利が付きますので、損はありません。楽しみを兼ねて利用するのもいいでしょう。
その3 金銭信託の利回りは定期預金の48倍も
金銭信託はあまり知られていない金融商品ですが、隠れた人気商品となっています。商品の仕組みは上の図のようになっており、運用実績によって得られる収益は変わります。
例えば、オリックス銀行が扱う金銭信託「eダイレクト金銭信託」は、期間1年で予定配当率が年0.3%~0.65%となっています。これは保証されていませんが、過去の商品では予定配当率通りの収益が得られています。
金融機関は顧客から集めた資金(信託金)を企業などに貸し付け、元本の返済と利息を受け取る。顧客には元本と利息の一部が還元される。受け取れる収益は運用実績に応じて変わるのが原則だが、募集時に予定配当率が示されている。
また、元本は保証されていませんが、実質上は元本割れしたことがありません。
定期預金の金利では物足りなさを感じるのであれば、検討の価値はあります。ただ、常にある商品ではないので、日頃から情報収集が必要です。
問い合わせはオリックス銀行(0120-104-094)へ
その4 インフレでも安心!?「物価連動国債ファンド」
長くデフレの続いた日本ではインフレは想像しにくくなっているでしょう。
しかし、過去には急激なインフレに見舞われたこともあります。
インフレとは物価の上昇が続くことですがモノの値段が上がると、お金の価値が下がります。
同じ1万円でも買えるものが少なくなってしまうのです。
インフレになれば、金利も上がるので、預金金利も高くなりますが、その利息だけでは物価上昇に追いつけません。備えるにはどうしたらいいでしょうか。
一つの方法は物価連動国債です。
これは日本政府が発行する国債の一種で、物価の上昇に合わせて収益が増える国債です。
物価連動国債は個人では購入ができませんが、物価連動国債で運用する投資信託は購入できます。
現在、三つのファンドが運用されています。
出典:投資信託協会 問い合わせは各銀行、証券会社へ
今後、10年、20年の間にはインフレになる可能性もありますから、検討してみるのもいいでしょう。
取材・文/向山 勇