「絶対損したくない!」そんな人にプロが薦める「定期預金よりマシ」な運用法

老後資金のために「投資」を考えているけど、ちょっと怖い...そんな人にまず知ってほしいのが「金融のイロハ」です。そこで、資産運用のプロ・山崎元さんに、金融知識が全くない大橋弘祐さんが質問する形式で分かりやすいと好評を博した2015年出版の名著『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)から、投資の初心者が知っておきたい「投資と貯蓄の疑問」をお届けします。

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定期預金よりはマシな方法

僕は不安に襲われていました。それは、とある知人Aに紹介してもらった、経済評論家の山崎元先生の経歴がすごかったからです。

東京大学経済学部を卒業後、三菱商事に入社し、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、など12の金融関係の仕事をわたり歩き、いまはテレビや雑誌で活躍しながら、大学で先生もしています。

そんな頭のいい人が話す内容が、僕みたいな無知な人間に理解できるのか......。「結論は?」「論点は?」「それで何聞きたいの?」みたいなことを言われて、僕は「すいません」「わかりません」を連発して、「だめだこいつ」と、あからさまにため息をつかれることはないだろうか......。

心配になった僕は、山崎先生を紹介してくれた、知人のAに電話をしました。

「山崎さんってどんな人なのかな」
「うーん。お金のことなんでも知ってて、説明もわかりやすいんだけど、頭がいい分、こっちがへこむというか、つらくなってくるというか......」
「毒舌ってこと?」
「そうだね、毒舌の池上彰って思ってもらえれば、わかりやすいかも」

毒舌の池上彰......。僕の不安メーターは振り切れました。「だからお前みたいなやつは出世しないんだ」とか「この凡人が」とか、そんなことまで言われそうな気さえしてきます。

そんな不安を抱えながら、指定されたビルに向かいました。

そこは山崎先生のオフィス。緊張しながら扉をあけると、そこにいたのはスーツを着た男性でした----。


ああ、君が大橋くん。連絡もらった

――あ、はい......

で、今日はどうしたの?

――ちょっと、お金のことで相談がありまして......

まあ、私に話がある人はだいたいそうだよね。で、君はどうしたいの?

あ、えーと......、将来が不安なので、貯金をなんとか運用して、老後に備えておきたいんです。だって日本は少子高齢化で年金がもらえるかわからないじゃないですか。でも、銀行に預けてても、利息はほんの少ししかもらえないし、株とかやるのも、リーマンショック的なことが起きて全財産を失ってしまいそうで怖いし......。つまり、何が言いたいかというと、このお金は13年間がんばって働いて稼いだお金なんです!だから絶対失いたくないんです!

安全に持っておきたいってことだよね。そしたら日本国債だね。『個人向け国債』ってやつを買うといい

(そんな、あっさり......)でも、それだって減るかもしれないんですよね?

個人向けの日本国債は途中で解約しない限り減らない。元本保証だから

えっ、減らないんですか?

うん。減らないね。国が保証してくれてるから。『変動金利型10年満期』というタイプを買うといいんだけど、今だったら10年もので0.3%(※)くらいの利回り。みずほ銀行の定期預金がだいたい0.12%(※)くらいだから銀行に預けてるよりは、ちょっといいんじゃない。いまは金利が低いからそんな差はないけど、今後、金利があがったときには、それにあわせて個人向け国債の金利も上がるようになっている

※みずほ銀行のスーパー定期300、満期10年の場合(2015年9月現在)

――でも、それって安全なんですか......

銀行に預けてるより安全。だって銀行と国のどっちが先に潰れるかといったら、国よりも銀行でしょう

――ということは、銀行より得して安全ってことですか......

うん

――じゃあそれ、やったほうがいいじゃないですか

そうだね

――どうして、みんなやらないんですか

それは、知らないから。携帯電話の料金プランを見直せば携帯代も得するじゃない。それと同じことで、世の中には知ってるだけで得することってたくさんあるの。だから金融の正しい知識をつけることは大切なことなの

――(なんか、この人まともなこと言うぞ......)あのう......、つかぬことをお伺いしますが国債ってなんなんでしょう?

国債っていうのはね、国の借金。国債を買うってことは国に金を貸してるのと一緒

――国に金を貸すんですか?

そういうこと。国が『お金を貸してください。少し利息を付けて返しますんで』って言ってるから、君が貸してあげるの(図1)。

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――国が返してくれないってことはないんですか?

いい質問だね。もちろん、その危険はある。たとえば、戦争で他の国に占領されたときとかね。あるいは借金で首が回らなくなったときに、国が『すいません。返せません』と言ってくるかもしれない。ギリシャとかはそれに近いことが起きそうになった

――じゃあ、危ないじゃないですか?

仮に日本がそんな大変なことになったときは、私も君もこんな悠長にしてられないよ。なったときはなったときだよ。ははは

――(軽いな、この人......)

要するに国債っていうのは国が財政破綻したり、戦争に負けるとか革命とか、ものすごく悪いことが起きるっていう、まず起きないことのリスクを負う代わりに、ちょっとだけ利息をあげるよってことなの。だから、まずそんなことは起きないだろうと考えて、みんな日本の国債を買ってる。逆に政情不安な新興国の国債は安全ではない

――......あのう、先生。そもそものことを質問していいですか

なに?

――僕、お金について素人じゃないですか。正直、これからも、そんなに金融のことを、勉強しないと思うんですよ。それでも、お金の運用を始めちゃって大丈夫なんでしょうか?

大丈夫。大丈夫。君みたいな素人は、最低限のポイントだけ学んで『ほぼベスト』といえる方法をとればいい。そうすれば銀行より得な『プラス5%くらいの利回り』を目指せる。それなら、やるべきことはものすごくシンプルだし、実はプロがやっている運用と大きく変わらない。君みたいな楽して何とかしようとしている素人にも問題なくできるよ

――.........


[まとめ]日本国債とは

・日本国債は国の債券。これを買うと国にお金を貸したことになる。
・買うのは個人向け国債の変動金利・満期10年のタイプ。
・個人向け国債だったら元本保証だから途中解約しない限り元本が減ることはない。
・国が借金を返せなくなるくらい大きなことがあったときに、返ってこないことがある。

※2015年発売書籍の内容です。現在の情勢と異なる場合があります

035-okane.jpg5章にわたって国債や投資信託、NISAに年金に至るまで、資産運用の基本のキを解説。実際にネット証券の口座開設法も写真で紹介されて分かりやすい

 

山崎元(やまざき・はじめ)
1958年、北海道生まれ。経済評論家。専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。東京大学経済学部卒業、三菱商事に入社。野村投信、住友信託、メリルリンチ証券など12回の転職を経て現職。著書に『学校では教えてくれないお金の授業』(PHP研究所)など多数。

大橋弘祐(おおはし・こうすけ)
作家、編集者。立教大学理学部卒後、大手通信会社の広報、マーケティング職を経て、作家に転身。著書に『SURVIVAL WEDDING』(文響社)など。

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『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』

(山崎元・大橋弘祐/文響社)

「投資」って興味はあるけど、どうやったらいいのか分からない。そんな「お金のド素人」代表が、東大卒で外資系証券や保険など金融12社を渡り歩いた「お金のプロ」に、なるべく安全なお金の増やし方を聞いた、初心者向け投資解説本。プロと素人の会話形式でまとめられているので、金融知識ゼロから投資を始めたい人でも眠くならずに学べます。

※この記事は『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(山崎元・大橋弘祐/文響社)からの抜粋です。
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