隣の芝生は青く見える......と思っていたら、意外とうちの芝生のほうが青いのではないか!? 「そうそう、そうなのよ」とうなずきたくなる相談から、驚き、びっくりな悩みまで、いろいろあります夫婦って。
定年後の夫婦問題はもとより、子ども世代や孫世代にリアルに起きている夫婦のさまざまな問題を夫婦問題カウンセラーの立木ミサさんと一緒に考えます。
Q 夫は60歳が近づいたころから頻繁に故郷の東北へ帰郷します。第2の人生は故郷で過ごしたいそうで困っています。
夫は特に長期休暇や用事があるというわけではないのですが、最近ちょくちょく生まれ故郷の東北に帰ります。あまりに頻繁なので私もつい「また?」と言ってしまうのですが、先日、退職したら故郷に移り住むと言い始めました。すでに実家の両親は他界していて、親戚の家はありますが、もし移住となれば住む家から考えなければなりません。
夫は私より7歳年上で、私自身はまだまだ仕事があるので一緒に行くつもりはありません。また、私にとっては故郷ではありません。子ども二人もやっと社会人になったばかりで、やれやれと思っていたら予想外の展開で、離婚なのかしら、と悩むことがあります。(54歳・教員)
A 何かあったときに夫婦としてどうするか、というシミュレーションは必要ですが、第2の人生は自分のための時間ととらえてもよいのではないでしょうか。
年齢とともに望郷の思いが募っていく傾向は、女性より男性のほうが多いようです。特にサラリーマンで引退ということがはっきりしていると、第2の人生を仕切り直して描きやすいこともあるのかもしれません。老後は生まれ育った故郷で過ごしたいとか、まったく別の"理想の暮らし"をしてみたい、といった願望も見え隠れします。
生まれ育った故郷には、同じように年を重ねた幼なじみや旧友がいるので、そうした旧交が再び楽しいものに感じられるということも大いにあるようです。懐かしさとともに居心地がいいのかもしれません。
本来、夫婦には「同居の義務」というのがあるのですが、お互い了解の上であれば、第2の人生は別々に歩む。それぞれに自分のやりたいことや、暮らしたい形を選ぶ"卒婚"といわれるような選択も、かえって風通しがよいと思います。離婚となると経済的には財産分与や年金分割などさまざまな法的な手続きが必要ですし、損失もあるので、「どうしても別れたい」というのでなければ、する必要もないと思います。ただ、"卒婚"の形をとりながら夫婦であり続けるためには、病気のときや経済面など危機管理的なことを事前にちゃんと話し合っておく必要があります。
<まとめ>
夫婦であっても自分の生き方や暮らし方を選び、
お互いに認め合えれば"卒婚"という選択もあります。