高齢者が増える一方の現代社会、さまざまな介護用品が市場に出回っています。でも「どんな意図で作ったのか」「使ってみて実際どうなのか」が分からず、購入に迷っているかたや、ユーザーの意見を知りたいかたも多いのではないでしょうか。そこで「毎日が発見」編集部がその製品を体験! 実際に使ってみてどうだったか、また製品開発者の思いなどを紹介します。今回は尿漏れが気になる人の強い味方、吸水パンツを取り上げます。
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ベビー用品の会社が開発した尿漏れ用パンツ
おなかに力を入れたり、笑ったり、席を立った時に尿漏れをしてしまった...という方、いらっしゃいませんか。そんな予想もしなかった尿漏れに対応するパンツが欲しいという声から誕生したのが、吸収パンツ「リクープかるる」です。このパンツを作ったのはピジョン株式会社。哺乳瓶といったベビー用品のイメージが強いかもしれませんが、40年以上、清拭用品、口腔ケア、おむつなど幅広い介護用品を手掛けています。
「リクープかるる」女性用ショーツ(写真左・ピンク・ベージュ2色)、男性用トランクス(グレー1色) 各吸水量15ml、30ml、60mlの3種、サイズはS~M、L、LL、女性用2,200円~2,800円(税抜き)、男性用2,300円~2,900円(税抜き)。
吸水部分は複層構造により柔らかさと高い吸収性に
普段履いているパンツと変わらない着用感を目指し、立体裁断でおしりを包み込むようにデザイン。履き心地の良さはもちろん、外にも響かないように工夫しました。
要となる吸水部分は、ゴワゴワしていると履き心地が悪いほか、厚みがあると周りの人に気づかれないか心配という声がありました。そのため、ゴワつきのない履き心地の良さを追求し、薄手複層構造で柔らかさと高い吸収性を実現。異なる複数の素材を、15ml(下着に染みる)は6層、30ml(少し漏れてしまう)は7層、60ml(何度も漏れてしまう)は9層と、吸収量ごとに組み合わせているのが特徴です。
吸水部分は複数の素材を組み合わせて作られています。
外見のよさ、薄さ、フィット感を目指し、薄いが高い吸収性のある生地に。
外側は速乾性生地、内側は水を吸収する特殊素材を使用
パンツの生地の外側は水をはじく速乾性生地、内側は水を吸収する特殊素材となっているため、万が一吸水部分から漏れてしまっても、表面には染み出しにくくなっています。そのうえ糸も漏れにくいものを使用するこだわりぶり。気になるニオイにも配慮し、全体には抗菌防臭加工、吸水部分にはアンモニア消臭加工を施しています。旅行などに出かけお風呂に入る際も、吸水パンツと分からないよう吸収部分は生地と同じ色で染めています。
外側は水をはじく速乾性生地、内側は吸収する特殊素材になっています。
吸収量は3種類そろえているので、散歩などちょっとした外出には15mlや30ml、旅行などの場合は60mlと、目的により選べるようになっているのもうれしいですね。
実際に履いてみると、ゴワつきがなくほどよいフィット感で、普通のパンツと同じ履き心地でした。不意におなかに力がかかってしまう山登りや、ゴルフといったスポーツ時などにも活躍しそうです。
「ウエスト部分はくい込みにくいレースタイプにするなど工夫しました」と
開発本部の鈴野郁子さん(写真右)、企画部の石沢卓也さん。
※これまでの「介護グッズ」他の回はこちら。
取材・文/中沢文子 撮影/吉澤広哉