相場を読む3つのポイント。「金利の上下」「増減税」「内外情勢」の見極め方とは?/お金の教養

相場を読む3つのポイント。「金利の上下」「増減税」「内外情勢」の見極め方とは?/お金の教養 pixta_38084147_S.jpg長く続いたデフレのトンネルから脱しようとする日本。しかし、世の中的に景気がよくても、それを実感できていない人は多いのではないでしょうか? 老後破産や格差社会の不安が広がる昨今、自分を守るために必要なのが「お金の教養」です。

本書『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』で、株高時代を逃さず、チャンスをつかむ方法を学びましょう!

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デフレとインフレ

日本は 20 年にわたって、デフレの長いトンネルの中にいました。バブル崩壊後も、盛り返しかけたかと思えばまた沈む、の繰り返し。中でも最大の打撃となったのは、2008年のリーマンショックです。リーマンショック直後は先進国を中心に、多くの国でデフレスパイラルの危機が発生しました。震源地のアメリカも、恐慌一歩手前のピンチに陥りました。そこで各国政府が行ったのが、「歴史的な金融緩和」です。デフレに対しては金融緩和。これは政策の定番です。

不況期には個人も企業も元気を失い、投資も消費もできません。そこで、国が乗り出すのです。中央銀行に大量にお金を出させ、金利を下げて銀行に積極的に貸し出し、世の中にお金を循環させようとする。これが金融緩和です。

ちなみにもう一つ、定番の政策に「財政出動」があります。税金や国債などを、公共事業に投資する方法です。さかんに道路や橋などをつくって雇用や消費の活性化を図るわけですが、債務が膨らむので、現在は日本も含め、どの国も消極的。最善策として選ばれるのは、やはり金融緩和です。

対して、「金融引き締め」はインフレが過熱しているときに行われます。金利を引き上げ、出回るお金の量を減らす。これらは消費欲・投資欲を冷まさせるための方策です。

 

株価が上下する3つのポイント

その影響で起こる景気の上下を如実に反映するのが株価です。刻々と変動する株価情報が、毎日ニュースで流れてきますね。あれを「チンプンカンプン」と感じる方もいるでしょう。どうなると上がり、どうなると下がるのか、皆目わからないかもしれません。しかし、からくりがわかってしまえば案外シンプルです。そこには、3つのポイントがあります。

すなわち、「金利の上下」「増減税」「内外情勢」。これらにまつわるニュースが流れたら、必ず株価に動きがありますから、次の関係を頭に入れて、注目してみてください。最初の「金利の上下」から説明します。

金利の上昇とは、金融引き締めとほぼ同義です。中央銀行が、金利引き上げや資金回収によって市場にお金があまり出回らないようにする。こうなると、株は必ず下がります。インフレ抑制において、もっとも即効性が高い方策といえます。対して、ボディブローのように比較的ゆっくり作用するのが「増税」です。

金利上昇ほど即時に反映はされないものの、増税が行われるとなれば株価は確実に下がります。実際、2013年から急上昇していた日経平均株価は、2014年の消費税8%への引き上げ実施後、 14 %も下落しています。

もう一つ、もっとも判断が難しいのが「内外情勢」の安定度。国内・国外の政情が不安定化する、もしくはすると予測される。こうしたとき、株価は下がります。まさに原稿執筆中の2018年3月、株価が下がっているのは、この内外情勢の不安からです。

国内では盤石と思われた安倍政権が、森友学園への国有地売却にまつわる財務省の公文書偽造問題で揺らぎ、支持率が急落しています。国外では、米国トランプ大統領が中国に対して高関税を発令し、米中貿易戦争が起こりそうです。こうなると株価は下がります。大暴落です。

よって、国内なら安倍政権がどれだけ安定持続を保てるかが焦点。国外では、前述の米中対立、保護貿易主義の台頭はもちろん、北朝鮮情勢やイラン対イスラエル、イラン対サウジアラビアの緊張が高まる中東を始めとする地政学リスクなどが懸念材料に挙げられるでしょう。

裏を返せば、これらの逆の事態が、株が上がるときの条件になります。

第一が「低金利」、すなわち金融緩和です。日銀の黒田総裁は2018年3月初頭、2019年までは金融緩和を続けると発言しました。正確にいうと「出口戦略の検討時期を平成 31 年度に」、つまり2019年には金融緩和の停止を検討すると語ったわけですが、具体的方法についてはまだ不透明。ともあれ金融緩和が続く限り、株価は上がります。

第二は「減税」。2019年の消費税アップがほぼ確実となったことは、株価には打撃。しかしたとえば法人税や所得税を減税すれば、株価はてきめんに上がるはずです。2017年、アメリカでは法人税率を 35 %から 21 %に引き下げ、所得税の最高税率は 37 %にとどめる税制改革案が可決されました。もし日本が同じことをすれば、株価は跳ね上がるでしょう。

投資家としては、キャピタルゲイン(株式売買益)課税ゼロ、配当課税ゼロもお願いしたいところ。キャピタルゲイン課税や配当課税はともに 20 %ですが、これをゼロにすれば、日経平均3万円突破など軽いものです。「そんなことできるはずがない!財源が不足しているのに」というのが今の日本の常識ですが、それは間違っています。

もしゼロにすれば、日本の株価は大幅に値上がりして、たちまち景気は良くなるでしょう。そして国の富も増え、税収も増え、国の繁栄はほぼ間違いないと思われます。実際、ゼロにしているシンガポールはアジアで一番繁栄しています。安倍首相にひとことおすすめしたいくらいです。

第三は「内外情勢の安定化」。2017年 10 月の総選挙で自民党が圧勝し、これを受けて株価が上がったのは記憶に新しいところです。対して国外では不安要素が尽きません。この3点目に関しては、「波乱含み」の様相を呈しているといえます。

ともあれ投資家は、この3点に留意して日々のニュースを見ています。相場の先読みの基盤がここにあることを、覚えておいてください。

 

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菅下清廣(すがした・きよひろ)

スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。
変化の激しい時代に次々予想を的中させることから「経済の千里眼」の異名をもち、政財界にも多くの信奉者をもつ。『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方〔2018年上半期版〕』(実務教育出版)など著書多数。

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『知らないと損をする!株高時代の「お金の教養」』
(菅下清廣/KADOKAWA)

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この記事は書籍『知らないと損をする!株高時代の「お金の教養」』からの抜粋です
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