長く続いたデフレのトンネルから脱しようとしている日本。しかし、世の中的に景気がよくても、それを実感できていない人は多いのではないでしょうか? 老後破産や格差社会の不安が広がる昨今、自分を守るために必要なのが「お金の教養」です。
本書『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』で、株高時代を逃さず、チャンスをつかむ方法を学びましょう!
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日経平均2万円突破の意味
2018年3月現在、日経平均株価は2万1000円超。これはかつての低迷を思えば、見事な復活といえます。バブル崩壊以降の「失われた 20 年」の間には、7054円という歴史的な安値を記録したこともありました。それが、ここまで復調したのはなぜか。ひと言で言えば、アベノミクスの効果です。2012年 12 月、第2次安倍政権が誕生。
翌2013年4月から、黒田東彦日銀総裁による「異次元の金融緩和」が始まりました。そして2015年6月、日経平均株価は2万円を突破。2018年1月には有効求人倍率も1.59 倍に。
再び人手不足の時代が来れば賃金も上がり、個人消費も上がります。好景気の足音が年々、音高く聞こえてきています。
では、この後はどうなるか。
さらなる好況の波が押し寄せると、私は見ています。2018年9月には自民党の総裁選が行われます。おそらくは安倍首相が3選し、デフレ脱却政策が引き続き進められていくでしょう。そうなれば市場は活気づき、株も上がるのは必定です。
投資家は「政治(政局)」を大いに重視します。政権が安定すると見れば、積極的に投資します。私が考える「次のピーク」は、おそらく2019年、年央。東京オリンピック開催に向けて、株価は2万7000円すら狙える、と予測しています。
「好景気の実感なんて、全然ないけれど......」と思った方もいらっしゃるでしょう。たしかに、好景気の影響はまだ世の隅々まで行きわたってはいません。しかし、その今こそがチャンスなのです。投資は、本格的に市場が熱して高値がつく「前に」行わなくてはならないからです。
この本では、そんな「好景気ならでは」のノウハウをお話しするわけですが、なかには「お金の基礎知識が全然ない!」という方も多いのではないでしょうか。まったく問題ありません。そういう方々のために、この本があるのです。まずは基礎の基礎─「好景気とは何か?」からご説明しましょう。
そもそも、好景気・不景気とはどんな現象か
好景気とはそもそも、どんな現象なのでしょう。ごく簡単に言うと、「皆がモノを買う状態」です。
人々の消費意欲が上がり、モノやサービスがどんどん売れる。
収益が上がった企業は積極的に設備投資し、生産量を上げて需要に応じる。人手も必要なので、どんどん人を雇用し、賃金も上げる。
たっぷり給料を得られて人々の財布はうるおい、さらに消費意欲が上がる......。
こうした良い循環が生まれるのが好景気です。不景気はその逆。
人々が消費を渋り、モノもサービスも売れなくなる。
企業は売れないから儲からない。だから雇用も増やせず、賃金も上げられない。
人々の財布は寒くなり、ますますモノを買わなくなる、というわけです。
不景気のときには物価が下がります。需要が低下して「モノ余り」になるからです。今まで100円で売れたものが、 90 円にしないと売れなくなる。こうしてモノの価格が下がり続けるのが、おなじみの現象「デフレ」です。
企業の収益は下がり、個人の財布のひもも固くなる。この悪循環が止まらなくなるのが、デフレスパイラルです。
加速すれば、最後は大恐慌に陥ります。対してインフレとは、物価上昇が持続すること。好景気に伴う現象ではありますが、これはこれで行き過ぎると危険です。いわゆる「適温」のインフレ率は、2%から4%といわれています。これを超えると黄信号、8%を超えると赤信号。
それでも止まらなくなると「ハイパーインフレ」と呼ばれる状態になります。通貨の価値が限りなくゼロに近づき、日々の生活用品の購入にも困ります。有名な例では、第一次大戦後のドイツでパン一個が一兆マルクになったというエピソードがありますね。ここまでではないにせよ、現代でも南米ベネズエラやアフリカで、同様の現象が起こっています。
次の記事「相場を読む3つのポイント。「金利の上下」「増減税」「内外情勢」の見極め方とは?/「お金の教養」(2)」はこちら。
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。
変化の激しい時代に次々予想を的中させることから「経済の千里眼」の異名をもち、政財界にも多くの信奉者をもつ。『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHPビジネス新書)、『マネーバブルで勝負する「10倍株」の見つけ方〔2018年上半期版〕』(実務教育出版)など著書多数。
(菅下清廣/KADOKAWA)
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