人生の最終盤に「正解」はない。現役看護師が伝える自分の羅針盤を持つための「意見」の作り方

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『人生の終わり方を考えよう 現役看護師が伝える老いと死のプロセス』 (著:高島 亜沙美、 監修:西 智弘/KADOKAWA)第4回【全7回】

「最期まで自分らしくいたい」と願う一方で、老いや死という現実に目を向けるのは少し勇気がいるものです。しかし、納得のいく人生を締めくくるには、実は「事前の準備と心の努力」が欠かせません。書籍『人生の終わり方を考えよう 現役看護師が伝える老いと死のプロセス』(KADOKAWA)では、現役看護師・高島 亜沙美さんが、老いゆくプロセスから介護保険の実情、終末期医療の選択肢までを丁寧に解説。ただ不安を煽るのではなく、「自分らしい最期」を具体的に描くためのヒントを授けてくれます。死を考えることは、決して後ろ向きなことではありません。最良のエンディングを準備することは、今日という日をより大切に生きるための、自分への最高のギフトになるはずです。

※本記事は高島 亜沙美 (著)、 西 智弘 (監修)によるムック『人生の終わり方を考えよう 現役看護師が伝える老いと死のプロセス』から一部抜粋・編集しました。

意見形成と対話を確立しておこう

考えや意見を言葉にする練習を

日本では、世間の正解に自分を合わせることが正しいというような風潮がありますが、こと人生の最終段階や死に関することはこの限りではありません。いい人生という正解があるんですかね? 良い死って定義されているんでしょうか? 違いますよね。これらは、自分で自分の思う正解を導かなくてはならないんです。

そのためには、まず自分の頭で考えること。自分の意見を持つこと。頭の中でなら、自分しか見られないエリアに書くなら、世の中的にアウトなことを思ったり書いたりしてOKです。わたしも、日記に罵詈雑言を書く日があります。意思決定支援の際、わたしたちは患者さんの意見を軸に方向性を決めていくわけですが、意見がない患者さん、そもそも病状的に意見を発することのできない患者さんが相手だと、難渋することが多いように思います。まるで、羅針盤のない船を進ませているようなもの。こちらの都合のいいように、患者さんの人生を操作するわけにもいきませんしね。

他者との建設的な対話

自分の頭で考え、意見を形成できるようになったら、大切な相手とわかり合うこと、わかり合えないことを確認する練習をしておいてほしいと思います。患者さん本人はこう思っているけど、家族は違う。でも、なんとか合意形成をしないといけない、なんて場面はたくさんあります。

自分の意見を伝えること、相手の意見を聞くこと、その反復を繰り返すことで、合意を形成したり、折衷案を考えたりできます。落とし所が見つけやすくなるんです。これ、仕事でやっている方も多いはずなんですが、プライベートになると途端にクオリティが落ちてしまうのは、なぜなんでしょうか。仕事じゃないから頑張れないんでしょうか。それとも、相手に甘えているせいなんでしょうか。生身の人間を相手に対話するのは、たとえ身内であってもいろいろとカロリーを使うもの。だから、最初は日記でいいです。ブログでもOK。生成AIに相手をしてもらうのもいいと思います。まずは、自分の意見を身体の外へ出しましょう。

意見と人格の区別

大切な人であっても、その人とすべての意見が一致することなんて絶対にありません。そのため、意見が合わないたびに誰かと絶縁していたら、人生も仕事もやってられなくなります。意見は、人と違って当たり前なんです。それが、パートナーであっても家族であっても。その上で、相手の人格をどう捉えるかは別の話です。意見と人格は、別物です。あの人のことは大切だけど、その意見には賛同できない、ということは往々にして発生すること。そこで、先に述べた対話の出番です。あなたのことを嫌いになったわけではなく、あなたのこういう意見に賛同できないから、落とし所を見つけたい、というアプローチです。そもそも、関わりたい、対話したいと思える時点で、大切な相手なのです。どうでもいい人だったら、そういう気持ちや姿勢は生じません。

 
※本記事は高島 亜沙美 (著)、 西 智弘 (監修)によるムック『人生の終わり方を考えよう 現役看護師が伝える老いと死のプロセス』から一部抜粋・編集しました。
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