家庭も一段落して、「働きたいが何をすればいいか分らない」という人も多いでしょう。仕事をすることで社会とつながりができ、生きがいが増えたという声も聞かれます。今回は、ファイナンシャルプランナーでキャリアコンサルタントの八木陽子さんに「70歳からの仕事の見つけ方」をお聞きしました。
読者モニターの3割が仕事をしていました
『毎日が発見』の読者モニターにアンケート調査したところ、約3割の106人が何らかの仕事をしていました。(有効回答数374人)
仕事をしている106人のうち、約4割の44人が70歳以上でした。
全ての経験が「キャリア」になる
「シニアの皆さんは、さまざまな経歴をお持ちです。仕事をしたいと思ったら、いままでの経験を全てポジティブにとらえて、『自分は何ができるか』を考えるといいですね」と言うのは、キャリアコンサルタントの八木陽子さん。
「専業主婦だったから、仕事ができない」と言われますが、家事は万能なスキルです。
そのときポイントになるのが掛け合わせ。
「料理+人と接するのが好き」なら、レストランの調理やサービスの仕事に就いたり、料理教室を始めたりできます。
「お菓子+イラストが得意」なら、SNSで発信すれば広告収入につながることも。
「一つだと飛び抜けた特徴になりませんが、得意を二つ掛け合わせればアピールポイントになります」。
楽しく仕事ができるゴールデンタイム
人生100年と言われる時代、70歳を過ぎても働いている人は多く、求人も増えています。
「無理のない働き方で社会とつながりながら、少しでも収入があると生活の励みになります」と八木さん。
いろいろ考えて「仕事をしない」というのも選択肢の一つ。
趣味や地域活動などの取り組みがのちに仕事につながることも。
「シニアは楽しみながら仕事ができる、ゴールデンタイムなんですよ」。
チェックしてみよう!
これまでの経験と、やってみたい仕事
「得意なこと・できること・やってみたいこと」などを書き出すことで、客観的に自分を見つめ直せます。いわゆる「人生の棚卸し」をして、やりたい仕事を探してみましょう。(八木さんの資料を基に編集部作成)
教えて! 仕事とお金のこと
Q.シニアに向いている職種は?
調理補助や清掃、ポスティング、警備、マンション管理、事務などが高齢者に向いていて、求人もあります。体力に自信がなくても、1日2~3時間なら負荷も少なくて済みます。シルバー人材センターに登録したり、ハローワークや求人サイトで探したりできます。
Q.履歴書や面接のポイントは?
職務経歴ばかりに注目せず、「何が得意か」「どんな経験をしたか」など、人物像が分かる書き方をしましょう。面接でも、「ただのパート」と自信なさげに言わず、「パートではこういう工夫をしました」など、ポジティブなことをアピールするといいでしょう。
Q.収入が増えると確定申告が必要?
65歳以上で、公的年金などの収入が158万円(110万円控除+48万円基礎控除)を超えて源泉徴収され、還付される税金がある場合は確定申告が必要です。ただし、公的年金などが400万円以下で、かつ公的年金以外の所得が20万円以下なら必要ありません。
Q.社会保険で気を付けることは?
65歳以上は被扶養者でも「介護保険料」を納めなくてはならず、75歳以上になると全員「後期高齢者医療制度」に加入します。年金をもらえるだけでなく、家庭によっては月数万円は社会保険の支出になることを知って、医療費などの備えも考えておきましょう。
得意を生かして地元で働ける
シルバー人材センター
シルバー人材センターは、高齢者が働くことで生きがいを得ながら、地域社会に貢献するための組織で、市区町村ごとに公益社団法人などが運営しています。
登録すると、家庭や企業、公共団体から仕事を請負または委任されます。
興味があれば、まずは登録してみては。自分に合った仕事探しのファーストステップにおすすめです。
どんな仕事があるの?
草刈りや障子の張り替え、駐車場管理のほかに、事務や家事援助、介護、育児など女性の経験を生かせる仕事もあります。農作物の生産・加工から販売まで手がけたり、お酒を造ったり、地域によって独自の事業も。
登録のやり方は?
原則60歳以上で働く意欲のある人は、入会説明会に参加し、入会申込書を提出します。シルバー人材センターは発注者から請けた仕事を会員に提供し、仕事量に応じて配分金を支払います。
みんなどれくらい働いている?
月に10日程度、週に20時間以内という制限があり、時給は最低賃金が目安になっています。シルバー人材センターの2021年の平均就業日数は月に9日、平均月収は3万6千円ほど。会員の平均年齢は74歳。