あなたは今、「家族のための私」で生きていませんか? 「もしあなたが『このままの人生で本当にいいんだろうか』。そう感じているならば、自分と向き合うサインです」と語るのはAmeba公式トップブロガー・中道あんさん。「夫や3人の子供たちとくらべて、ただ歳を重ねているだけ」と感じながら専業主婦をしていた中道あんさんですが、40歳でパートを始めたことをきっかけに、その後は正社員となり、夫と別居、そして50代半ばで起業をするまでに人生が変わりました。
中道あんさんが「このままではいけない、変わらなきゃ」「一歩を踏み出そう」と考え、「私のための私」になれたのはなぜなのか。中道あんさんの著書『昨日とは違う明日を生きるための 新しい幸せの始め方』(KADOKAWA)よりこれからの時代を生きるヒントを厳選してお届けします。
【前回】「よい嫁、よい母親、よい娘でいなければ」...いまだに思っていませんか?
【最初から読む】専業主婦だった私が40代でパートを始め、夫と別居し、50代で起業した理由
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「食べさせてもらっている」→「家事・育児は立派な労働」
夫婦は対等であるべき
「誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ!」
今どきこんなことを言う夫がいたら、間違いなく「モラ夫(モラハラ夫)」と呼ばれるでしょう。あなたなら、なんと返答しますか。
今の私なら、「そっちこそ、誰のおかげでのうのうと会社に行けると思ってるんだ!」「赤ん坊を背負って会社に行ってみろ!」と言い返すでしょう。
夫婦は"運命共同体"です。どちらが上ということはなく、伴侶であり、行動や考えを共にする仲間です。でもやはり現実には、経済力の低い妻の立場は弱いものですね。
女性が、家事や育児を抱え込みがちになる理由のひとつには、「家事や育児は女性の仕事」という固定観念があります。でも専業主婦やパート主婦の場合、もうひとつの理由として、「夫に食べさせてもらっている立場」という思い込みもあるのではないでしょうか。
私も以前はそうでした。だから、「炊事・洗濯・掃除といった家事は、すべて主婦である私の仕事」と思っていました。自分が食べたいからではなく、「家族に食べさせなきゃ」という思いで台所に立っていました。「夫に働いてもらっているのだから、ご飯作りは自分の仕事」と決めつけてしまっていたのです。
友人の中には、「夫がお金の管理をすべてやっていて、自分は一切わからない」という人が少なくありません。「毎月の生活費をもらってその中でやり繰りしていれば、何も考えなくて済むからラクでいい」と言うのです。
これは、強い信頼関係で結ばれた夫婦だからこそでしょう。よその家のことをとやかく言う権利はありませんが、でも、本当にそれでいいのでしょうか。
たとえ夫が稼いだお金だとしても、妻の協力の上で成り立っているものですし、夫婦共有の財産です。形式的には夫名義の預金であっても、実質的にはふたりのものです。その中身を「知らない」って、あまりにも他人事すぎるのではないでしょうか。
家事を担う妻は夫を支えるサポーター
家庭を切り盛りするというのは、本当に大変で知恵を使う仕事です。そんな妻がいるおかげで、夫は仕事に専念できるのです。「男性にとって、家庭はオアシス」と言う人がいますが、主婦にとっても「家庭はオアシス」でありたいですよね。
私がパートで働き始めた40歳くらいのことです。職場に、人生経験が豊富な60代のMさんという方がいました。知的探究心が強く、一年に何度かひとりで海外旅行にも出かけ、その先々で歴史の造詣を深めている方で、素敵に歳を重ねているMさんは、同僚みんなの憧れの的でした。
そのMさんから、こんなアドバイスをいただきました。
「ご主人が稼いだお金は、半分はあなたのものよ。だからね、貯金をするなら半分は自分の名義にしなさい」「家事も育児もひとりでやって、空いてる時間に働いたパート代は、あなた個人のものよ。ちゃんと貯金しなさいね」。
でもそのときの私は、「そんな都合のいい話はない」と思っていたんです。実際に大変な思いをして働いているのは夫なのですから。夫名義の預金は私のものではなく、家族のものだと思っていました。自分に順番が回ってくるのは、最後の最後。
今では、Mさんの言うことは正しかった、私は自分を低く見積もっていたんだとわかります。私は「夫を陰で支える名サポーターだ」と自負するべきだったのです。
その後、正社員として働くようになって、社会の厳しさを痛感しました。いつも思っていたのは、「帰宅したときに温かいご飯が待っていたら、どんなに幸せだろうか」ということです。
もしあなたが家事を担っている主婦ならば、そういう幸せを文句も言わずに提供しているあなたの存在を、まず、あなた自身が認めることが大事です。
POINT
妻は夫の名サポーター。あなた自身が自分を認めてあげよう