孤独死や徘徊リスクで敬遠される「シニアの賃貸契約」。「終のすみか」どう確保する?【60歳からのリアル】

老後資金に「2000万円の準備を...」と言われても、すぐに作れる人はなかなかいません。そこで、社会保険労務士歴20年の岡久さんが著した『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』(自由国民社)から、老後の不安を解消できる60歳からの生き方のヒントを連載形式でお届け。人生のシミュレーション、今こそやるべきです。

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高齢者の賃貸契約はハードルが高い!

定年を過ぎると住宅の心配も生じてきます。持ち家なら自分が亡くなった後どうするのか、賃貸なら死ぬまで住むことができるのかという問題です。

特に賃貸の場合には、高齢の年金生活者の借り手は契約困難なケースが後を絶たないようです。理由は「孤独死の後始末の怖れ」「家賃の滞納のリスク」「徘徊老人の危険」など貸し手側の不安が大きいようです。

全国的に見れば空き家が増えているにもかかわらず、いまだに旧態依然とした契約状況が続いています。

まず今の住み家が賃貸物件なら、問題がなければなるべくそのまま住み続けることを優先することです。長年住んでいればオーナーや家主に対して信用もあるし、家族構成などの状況もわかっているので、契約違反の場合を除いてそう簡単に契約を断られることはありません。

もし問題が生じた時には、全国の消費生活センターや国民生活センターに相談することをお勧めします。

また契約更新の際に、こちらの住環境をよくするために、借り手側の要望を相談することもよいでしょう。

例えば、鍵が古くなっていたら防犯用のシリンダー錠に交換してもらうとか、屋内の老朽化した部分の修繕をしてもらうとか要望を伝えて、住環境の整備をお願いすることも大切でしょう。

費用が掛かることなのですべての要望がかなうわけではありませんが、相談する価値はあります。もし今の住居を住み替えたいなら、ハードルは高くなります。前述したように、六十歳を超えるような高齢者に貸したいという家主はそう多くはありません。特に単身高齢者の場合はなおさら、新規の賃貸契約が困難になります。

単身高齢者として家主から敬遠されないためには?

今、大都市では独り暮らしの高齢者が急増しており、三百万人近くになっています。実に世帯全体の一割を突破し、現在も増え続けています。

単身高齢者は介護や生活保護が必要な状態に陥りやすいとして、家主や管理会社から敬遠されやすいのです。

大都市は地域で助け合う基盤が弱く、人間関係も希薄なので、独り暮らしの高齢者の孤立化が進行しています。

独り暮らしの高齢者の要介護認定率は同居人がいる場合の二倍強に達しており、介護サービス利用率も八割と高くなっているのです。

さらに単身高齢者の場合、低年金が多く、生活保護の対象になりやすいといった傾向もあります。

このような理由から、新規の賃貸物件を見つけるのは至難の業ですが、どうしても探したいのなら、次のような状態を作るとよいと思います。

・健康状態が良好、足腰も丈夫
・近くに近親者が住んでいて、すぐに連絡が取れる
・保証人がしっかりして、家賃の滞納などを防げる
・独りで閉じ籠ることもなく、周りとのコミュニケーションも図れる

高齢者に対する懸念を少しでもなくすようにすれば、契約成立の可能性は高くなります。

最近は、高齢者の賃貸契約をサポートする会社もあるので探してみるとよいでしょう。

ある不動産会社では、家主やオーナーが高齢者に貸しやすいように、入居者の見守りから家事代行まで、また、司法書士やファイナンシャルプランナーなど、住まいや家計のプロとも連携しながら、法務や税務の問題にも対処しています。増える独身高齢者や空き家、空き室の問題は新しいビジネスチャンスとしても注目されています。

近い将来、「高齢」というだけで住まい探しに苦労することがない社会になるように期待しましょう。

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2000manen-syoei.jpg誰もが将来不安を覚える「生活、仕事、お金、心、住まい、健康」の6テーマを章ごとに紹介。60歳になると何に対峙しなければならないのか、リアルな状況が理解できます

 

岡久(おか・ひさし)

社会保険労務士。シンクタンク岡事務所、ナイン・ヒル・パートナーズ株式会社代表。人材開発や働き方改革から労務管理までさまざまなコンサルティングを手掛ける。社労士歴&コンサル歴20年以上のプロ、関連分野の著書も多数執筆。

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『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』

(岡久/自由国民社)

「人生100年時代」と言われても、お金に仕事、住まいに健康と不安が多過ぎる!そんな心のざわつきが止まらないあなたのための現代社会サバイバル本。生活のダウンサイジング法や孤独の楽しみ方など、老後資金に2000万円も持っていない私たちがどう生きるべきか、たくさんのヒントを教えてくれます。

※この記事は『2000万円もってないオレたちはどう生きるか―60歳からのリアル』(岡久/自由国民社)からの抜粋です。

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