「僕は...がんで死んじゃうんだ!」一睡もできず、のたうち回った「漆黒の夜」/僕は、死なない。(6)

「病気の名前は、肺がんです」。突然の医師からの宣告。しかもいきなりステージ4......。2016年9月、50歳でがんの告知を受けた刀根 健さん。「絶対に生き残る」「完治する」と決意し、あらゆる治療法を試してもがき続ける姿に......感動と賛否が巻き起こった話題の著書『僕は、死なない。』(SBクリエイティブ)より抜粋。21章(全38章)までを全35回(予定)にわたってお届けします。

pixta_60003804_S.jpg死の恐怖

僕は電気を消して布団にもぐりこんだ。

長い1日だった......まさか、ステージ4だなんて......。

掛川医師の顔が浮かんできた。

頭の中の掛川医師は淡々と言い放つ。

「病気の名前は、肺がんです」

「残念ですが、4期、ステージ4です」

「進行している可能性があります」

スマホの画面が頭をよぎる。

1年生存率30%、5年生存率10%以下......。

来年、生きている可能性が3割なのか......5年後は生きていないかもしれない......。

頭の中を掛川医師の言葉が響き渡る。

「残念ですが、4期、ステージ4です」

「残念ですが、4期、ステージ4です」

「残念ですが、4期、ステージ4です」

「残念ですが、4期、ステージ4です」

「残念ですが、4期、ステージ4です」

突然、僕は重大なことに気づいた。
僕は、死ぬんだ!
僕は、死んじゃうんだ!

掛川医師の陰気な顔が真っ暗な部屋の中いっぱいに現れる。

「進行性の肺がんで、手術はできません」

「リンパにも転移しています」

「残念ですが、骨にも転移しています」

ああー、どうしよう!

死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない!

僕は完全に恐怖に捕まった。

死んだらどうなるんだろう?

死んだら、何も考えられなくなるのかな?

死んだら消えちゃうのかな?

消えるってどうなっちゃうことなんだ?

消える?

僕は、消えるのか!?

「抗がん剤は効くかどうかわかりません。やってみなければわからないのです」

「そうやって、薬をつないでいくしかないのです」

怖い、怖い、怖い。

僕は、がんで死ぬのか?

死ぬのが怖い、死ぬのが怖い、死ぬのが怖い!

恐怖をかき消すように、心の中で叫ぶ。

いや、治るんだ! 治すんだ! 絶対に生き残ってやる!

打ち消すように掛川医師が言葉をかぶせてくる。

「肺がんはがんの中でも難しいがんなのです」

頭を抱えて反論する。

うるさい!

僕は生き残るんだ!

がんを消すんだ!

絶対に死ぬもんか!

死の恐怖は、むなしい抵抗をあっという間に吹き消していく。

「無理です。あなたは延命治療しかできません」

「もう、助かりません」

死ぬ、死ぬ、死ぬ、僕は死ぬんだ! 死んじゃうんだ!

妻と2人で年を取りたかった。

白髪の妻が見てみたかった。

子どもたちが社会人になる姿が見たかった。

孫を抱きたかった。

もっともっと、家族で時間を過ごしたかった。

もっと一緒にいたかった。

もっと話をしたかった。

もっと一緒にどこかへ行きたかった。

涙があふれてきた。

なんで、どうしてできないんだ!

僕よりも悪いことしているヤツ、いっぱいいるじゃないか!

なんで僕なんだ!

不公平だ!

僕以外にもいっぱいいるじゃないか!

なんで僕なんだよ!

いやだ、いやだ、いやだ、死にたくない、死にたくない、死にたくない!

頭の中を何かが暴走していた。

心臓が高鳴り、脈拍が速くなる。

真っ暗な暗闇から何かが僕をつかみ込んで、漆黒の穴へ引きずり込もうとしていた。

いやだ! いやだ! いやだ!

抵抗むなしく、ぐるぐると回転しながら底なしの穴へ落ちていく。

死にたくない!

怖いよう!

頭を抱えて布団の中をゴロゴロと転がる。

暗闇は僕を捕らえて離さない。

夜は無限に続くように思われ、僕は真っ暗な部屋の中でもだえ苦しんだ。

眠れない、こんなの眠れるわけがない!

う......うわーっ!

恐怖にのたうちまわっているうちに、窓から光が差し込んできた。

気づくと、朝になっていた。

結局、一睡もすることはできなかった。

明るくなった部屋で腫れた目をこすりながら思った。

夜になったら、またこれがやってくるのか......。

夜が怖い......。

眠れる日は来るんだろうか?

次のエピソード:「大丈夫です。治ります」つい涙があふれた、心臓の主治医からの言葉/僕は、死なない。(7)

【まとめ読み】『僕は、死なない。』記事リスト

shoei001.jpg50歳で突然「肺がん、ステージ4」を宣告された著者。1年生存率は約30%という状況から、ひたすらポジティブに、時にくじけそうになりながらも、もがき続ける姿をつづった実話。がんが教えてくれたこと」として当時を振り返る第2部も必読です。

 

刀根 健(とね・たけし)

1966年、千葉県出身。OFFICE LEELA(オフィスリーラ)代表。東京電機大学理工学部卒業後、大手商社を経て、教育系企業に。その後、人気講師として活躍。ボクシングジムのトレーナーとしてもプロボクサーの指導・育成を行ない、3名の日本ランカーを育てる。2016年9月1日に肺がん(ステージ4)が発覚。翌年6月に新たに脳転移が見つかり、さらに両眼、左右の肺、肺から首のリンパ、肝臓、左右の腎臓、脾臓、全身の骨に転移が見つかるが、1カ月の入院を経て奇跡的に回復。現在は、講演や執筆など活動を行なっている。

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『僕は、死なない。 全身末期がんから生還してわかった人生に奇跡を起こすサレンダーの法則』

(刀根 健/SBクリエイティブ)

2016年9月、心理学の人気講師をしていた著者は、突然、肺がん告知を受ける。それも一番深刻なステージ4。それでも「絶対に生き残る」「完治する」と決意し、あらゆる代替医療、民間療法を試みるが…。当時50歳だった著者の葛藤がストレートに伝わってくる、ドキドキと感動の詰まった実話。

この記事は『僕は、死なない。 全身末期がんから生還してわかった人生に奇跡を起こすサレンダーの法則』(刀根 健/SBクリエイティブ)からの抜粋です。

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