仕事で転勤や異動、自分や家族が病気を患うなど、人生の転機を迎える可能性が高い中年期。急な報せに焦るかもしれませんが、うまく乗り越えれば残りの人生を有意義に過ごすチャンスにもなります。そこで、『自分らしく生きる! 40代からはじめるキャリアのつくり方:「人生の転機」を乗り越えるために』(石川邦子/方丈社)から、女性が抱えるライフキャリアの悩みとその解決方法について、連載形式でお届けします。
ブランクはプラスに捉える
再就職支援のキャリアアドバイザーをしていたときには、いったん結婚や出産、夫の転勤などで離職して、時間的な余裕が出てきたので、再度働きたいという相談が多くありました。
そしてその多くの方は、仕事をしていなかった期間を「ブランク」とマイナスな意味で捉えていました。
「ブランク」と言われている期間をどのように過ごされていたかは、人それぞれです。
Sさんも10数年ブランクがありました。
そのブランクの間、育児や家事以外にも何かされていたのかをお聴きすると、「内職はしていた」と答えてくださいました。
内職を具体的に聴いていくと、通信教育で論文添削やエントリーシートの添削をされていたのです。
そして、エントリーシートの添削についてさらに詳しく聴いていくと、「最初は自己PRもまともに書けていなかった学生さんが、だんだん自分の良いところを表現できるように成長していくのをサポートできて、とても楽しい」と。
まさにキャリア支援の一部を担っておられたのです。
当時はまだキャリアコンサルタントの認知が低く、ご存知なかっただけでした。
そこで、キャリアコンサルタントの仕事内容や資格、養成機関などの情報提供をしました。
今後のキャリアの方向性の中で、ひとつの選択肢として若い人のキャリア支援をしていくことを考えていただくことになりました。
ブランクと思われていた期間におこなっていた内職は、キャリア支援という目標につながる経験となったのです。
最後に私がSさんにお伝えしたのは、「ブランクがなくなりましたね」ということでした。
驚いたことに昨年私の講座に、Sさんが参加してくださり、10年ぶりに再会しました。
Sさんから「今キャリアコンサルタントとして頑張っています」とお聴きしたときは、本当にこの仕事をしていて良かったと感激しました。
仕事をしていなかった期間を「ブランク」とマイナスに捉えてしまうのではなく、その期間をどのように過ごして、どのような力が身についたのかを考えてみることが大切です。
最初からは無理でも、子育てにも慣れてきた段階で、今の時間を使って子育てをしながらでもできることからやってみて、その経験をきちんと積み重ねていけば良いのです。
情報収集でもいいですし、Sさんのように通信教育などのお仕事でも良いと思います。
子育てしながら在宅でおこなえる、裁量のある仕事を探してみてはいかがでしょうか。
将来を考えて、計画的に育児期を捉えていくことで、ブランクというマイナスな捉え方を変えていって欲しいと思います。
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