今、医師や管理栄養士の間で「亜鉛」が注目されているんです。「病気しやすい」「やる気がなくなる」...こんな悩みの原因に「亜鉛不足」があり、日本人の約10〜30%が「亜鉛」欠乏状態と言います。そこで、医師の平澤精一さんと管理栄養士の岸村康代さんによる『長生きの切り札! 亜鉛チャージ健康法』(アスコム)から、お二人が提案する「亜鉛チャージ健康法」をご紹介します。
亜鉛は、人が健康に生きるうえで必要不可欠なミネラル
「亜鉛チャージ健康法」。
このタイトルを見て、亜鉛チャージ健康法とはどういうものなのか、それによって、どのような効果が得られるのか、すぐにおわかりになる方は、ほとんどいらっしゃらないでしょう。
私たちは日々、食事を通して、「三大栄養素」といわれるタンパク質、脂質、糖質や各種ビタミン、ミネラルなど、体に必要な栄養を摂っています。
亜鉛チャージ健康法はそのうち、特にミネラルの一つである亜鉛に注目し、亜鉛を効率よく摂取(チャージ)して、健康に生きることを目指すものです。
では、なぜ亜鉛をチャージすることが、健康につながるのでしょうか?
体重70kg程度の健康な成人男子の体内には、1.5~3gの亜鉛があり、骨や筋肉、肝臓や腎臓、膵臓のほか、血液中の赤血球や眼の網膜、脳、皮膚、毛根などに存在しています。
小さじ1杯分にも満たないわずかな量ですが、実は、亜鉛は体内で、驚くほど多方面にわたる活躍をしています。
まず、亜鉛は、細胞のDNAの複製やタンパク質の合成に関わっています。
私たちの皮膚や毛髪、爪などは、コラーゲンやケラチンといったタンパク質によってできていますが、亜鉛の働きのおかげで、体中の細胞の新陳代謝が促され、古くなったタンパク質が新しく生まれ変わり、若さや健康が保たれるのです。
また、人間の体内には千数百種類に及ぶ酵素があり、食べ物の消化・吸収・分解・排泄や代謝の促進、ホルモンバランスの調整など、生命や健康、美容を維持するうえで大切な、さまざまな役割を果たしています。
亜鉛はそのうち、
・骨の形成や肝臓、腎臓、膵臓の機能維持に関わる酵素
・細胞の老化やがんの発生を促す、活性酸素を除去する酵素
・体にとって有害な、体内の二酸化炭素やアルコールを分解し、無害化する酵素
をはじめとした、合計300種類以上もの酵素の働きを助け、私たちの体の健康を保ち、「生きる力」を高めてくれているのです。
さらに、亜鉛は、私たちをさまざまな病気から守ってくれています。
私たちの体には、体内で発生したがん細胞や、体内に入り込んだ異物、ウイルスなどを駆除してくれる「免疫細胞」が約2兆個も存在していますが、亜鉛には、この免疫細胞の働きを助け、体の免疫力を高める作用があるのです。
加えて、亜鉛は、記憶や学習をつかさどる「海馬」をはじめ、脳のさまざまな部位にも含まれており、記憶力を高めたり精神を安定させたりするうえで、大きな役割を果たしています。
このように、亜鉛は人間にとって 「健康寿命ミネラル」「体の細胞を生き生きとさせるミネラル」 ともいうべき存在であり、あとで詳しくお話しするように、亜鉛が不足すると、たちまち老化が進んだり、さまざまな病気や体の不調が引き起こされやすくなったりします。
だからこそ、生命と健康を維持するうえで、「亜鉛チャージ」は必要不可欠なのです。
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