アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
息子の通う高校でPTAの会長に選出された時のお話です。
【前回】「風紀違反はうちの子だけじゃないのに差別です!」PTA会長の自宅電話に学校への苦情が次々と
我が子だけが風紀検査で引っかかった事に納得がいかず、学校側に直接言えばいいものをわざわざPTA会長に電話をする親御さんは実は一人や二人ではない。
それどころか、正気か?と疑いたくなるような事を平気で言ってくる親御さんは実在する。
携帯電話(当時はガラケー)で授業中にメールを打っているのを教師に見つかり没収され、返して欲しければ親御さんが学校まで来るようにと言われた事があった。
その際の保護者の言い分がこちら。
「没収されてる間の料金は先生が払ってくれるんでしょうね!没収した携帯を先生が悪用するんじゃないんですか!勝手に使われてたらたまったもんじゃない!携帯電話は親が子どもに貸与している物だから、親に所有権がある!没収する権利は先生に無い!」
いや、校則で決まってます。
出席日数が足りず、このままでは進級できないと担任に告げられた際には
「毎日学校に行っているのに、出席日数が足りないと言われて驚いた。遅刻3回で1日欠席なんて初めて聞いた!そんなに遅刻が多かったなら家に連絡してくれるべきでしょ!」
ちゃんと生徒手帳に書いてます。
その高校にもよるが、高校は義務教育ではないので基本的には生徒本人に言う。
どうしても保護者に言わなければならない事であったり、保護者に手続きをしてもらわなければならない事以外は本人に言うので、小中学校の様に毎度親に連絡すると言う事は無い。
たまに「中学校ではしてくれたのに高校の先生はしてくれないんですね!」とお怒りの電話があったりもするので、そのたびに「ええ、義務教育じゃないので」と言うと驚きの声を上げる親御さんがいるのがむしろ驚きだ。
ある日の事、PTA委員の方から相談を受けた。
「2年生の保護者(母親)が白血病になり入院している。シングルマザーなので学費の心配をしている」
その高校には独自の学費支援制度があったのでそれを知らせた。
ただそれを受けるための条件は、成績だけでなく出席日数や日頃の行いが評価対象だ。
「一度会長にお話ししたいと言っている」と言うので、委員さんと一緒に入院している病院まで出向いた。
もちろん直接会う事は出来ず、病室前の廊下の壁に取り付けられている電話でガラス越しに話した。
「私がこんな病気になってしまって...。どうか会長さんお願いします。どうかお口添えください...。なんとか息子に高校は卒業させてあげたいんです...」
受話器を握った母親がベッドの上で正座して、泣き崩れるように何度も頭下げる。
「本当にいい子なんです。親思いの優しい子なんです...」
「私が話したからと言って支援されるものではありませんが、一応その様な状況の方がいらっしゃる事だけは言いますね」
帰りに委員さんからも、「小さい頃から知ってる子なんですが、本当にいい子なんです!」と力説された。
数日後、学校に用事があったついでに教頭に話をした。
「直接生徒の事は知らないんですが、ひとり親世帯で、お母様が白血病で入院なさったので学費のご心配をされています。委員の○○さんも昔から知っている子らしくて、親思いの優しい子だと聞いています。学費支援が受けられればと思うんですが」
「わかりました。成績や色々条件がありますが、会長さんからのお話ですのでちょっと調べてみます」
帰宅後、委員さんに電話をかけ、学校側から連絡があるらしいと知らせた。
「教頭に伝えたけど、私が言ったからって必ず大丈夫な訳ではないからね」
その点を何度も念押ししたが、もう支援が決定したかのように喜ばれて困った。
そして数週間後、教頭から直接電話があった。
「先日の件ですが...、あれ、ダメでしたわ。会長さんは生徒の事を直接知らんって言うてましたねぇ。あの生徒、欠席も遅刻も多くて、(風紀)違反で何度も捕まっとる生徒でしたわ。生徒指導の先生にもしょっちゅう注意されとる生徒で...、まぁ、なんと言うか...」
「いえいえ、私も生徒自身を直接知らないんでそんな生徒だったとは申し訳ありませんでした!」
「いや~あ、どんな生徒でも、親からしてみれば『いい子』ですからねぇ。ま、そう言う事で」
電話を切った後、教頭の言った理由に納得が行ったものの、あの病室のベッドで泣き崩れて頭を下げていた母親を思い出した。
親から見ていくらいい子であったとしても、世間の評価の中でどうなのかが現実なのだ。
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