「孫の顔が見られるなら相手は誰でもいいわ!」。子どものいない私に言い放った義母

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ひろえもん
性別:女
年齢:54
プロフィール:海の近くの下町で猫4匹と夫とコロコロしながら、ささやかな幸せを探しながら暮らす関西のおばちゃんです。

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私の義母は正直過ぎな人。決して根っからの意地悪という感じではなく、いつも陽気で朗らかな人なのですが、昔から他人の気持ちには、まったく興味がないタイプでした。近所に住む夫の叔父、つまり義母の実弟が、我が家に頻繁に悩みを打ち明けに来るので、「お姉さんに相談してみたら?」と一度勧めたことがあるのですが、「ダメダメ。あの人は人の悩みになんて耳を傾ける人じゃないから! 君もわかってると思うけど!」と答えるぐらいでした。肉親にさえそうなのかと思いながら、それでも私は、「嫁にはきっと」とちょっと期待していたのです。その根拠のない妄信が一瞬で崩れ去ったのが、あの言葉を聞いたときでした。

義母の家に一週間ほど泊まりに行ったとき、私達夫婦は離れの小さな部屋に寝泊まりしていました。義母には住み込みのお手伝いさんがいて、彼女の部屋は母屋の義母の隣の寝室でした。とても綺麗で若い方で、夫のようなパッとしない中年の男になど、なびきそうにもない理知的な雰囲気だったので安心していたのですが、夫は毎晩、夜中の3時頃まで離れに戻ってきません。私はある夜歯磨きをした後、そっと携帯を居間の机の上に置いていきました。そして「携帯忘れちゃった~」と居間に戻ったら夫がいません。もしかするとこの中に?と思ってヘルパーさんの部屋の扉まで、抜き足、差し足、忍び足で近づくと、誰かと小声で会話している声が聞こえるではないですか。でも携帯で誰かと話しているのかもしれないし、あまりにも声が小さすぎてわかりませんでした。義母の家には畑があり、夫はそこをウロウロしたり、畑の小屋で煙草を吸いながら、ぼーっとしていることがよくあるので、そこにいるかもしれないと思うと面倒になり、ろくに調べもしないで寝てしまったのです。

翌朝、やっぱり腑に落ちないと思い、とりあえず義母に相談してみました。「あの~。大変申し上げくいんですが、息子さんがヘルパーさんと浮気してるかもしれないんです」。すると、義母は目を輝かせ「え! 本当?! 子どもも産めないあなたはできればあちらの部屋で静かにしておいてほしいわね! 孫の顔が見られるなら、この際相手は誰でもいいわ」と言い放ったのです。さぞかし同情してもらえるかと、涙まで用意して構えていたのですが、まさかの答えに、むしろ心に空いた穴から爽やかな風が吹き抜けるのを感じました。

あの日から、私は義母に会うと必ず「息子さん、私を大事にしてくれすぎて本当に幸せです!」と言うことにしており、義母の悔し気な顔を覗き込んで悦に入ることにしています。

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