父が突然亡くなった。ギリギリ間に合った在宅診療での看取り

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:あめゆじゅ
性別:55
年齢:女
プロフィール:実父と夫と猫3匹で暮らしていましたが、秋に家族がひとり減りました。

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高齢になった父を我が家に呼び寄せて暮らすようになってから不安に感じていたことの一つに、もし知らない間に冷たくなっていたらどうしよう?というのがありました。というのも、救急車は救命を行うためにあり、すでに冷たくなってしまっていたら病院には搬送されないと聞いていたからです。

ケースバイケースなのでしょうが、すでに救命できない状態にあれば、搬送するのは救急車ではなく警察車両であり、その後は死亡診断ではなく死体検案。そのことは父の父、つまりは私の祖父が亡くなった時に同居していた叔父夫婦から聞いていました。家族全員で一所懸命お世話をしていたのに、事件性がないか調べられて大変な思いをしたという話はいまだに語り草です。

父にはパーキンソン病がありましたが、自分で歩けていたので病院へは私が連れていくことができていました。また、父がかかっていた病院は救急車が搬送するような大病院。もしもの時に運んでくれればカルテはあるものの、すでに冷たくなってしまった時に往診してくれるかどうかはわかりません。もしもの時のためにも近所にかかりつけ医がいないといけない? こんな歩けるような状態では訪問診療の契約はできない? そういうことも調べておかなくては......と思いながらも、なかなかできないでいました。

昨年、父に癌が見つかったので開腹手術をしましたが、その後の経過は良好で普通に暮らしていました。とはいうものの、父は86歳の後期高齢者。今の日本人男性の平均寿命が81歳ですから、年齢的にはいつ逝ってもおかしくない年齢。ですが、生きている父を目の前にして病院で「もし自宅で亡くなったら・・・」などと尋ねることもできず、そのうえ日々の生活にも追われて不安は抱えたままになっていました。

そんな父でしたが、次第に食事の量が減り、少し弱ってきたのを機に受診してわかったのが末期がんであるということでした。緩和ケアを施してくれる病院も検討してはみるものの、なにせ父は認知症なので環境が変わると精神的に不安定になるので難しい選択です。

不幸中の幸いで、我が家ではすでに要介護5の姑が在宅診療で診てもらっていました。訪問診療の医師も訪問看護の看護師もすでに顔見知りです。父が重篤な貧血の改善のために4日間入院したことをきっかけに、私は自宅で父を看取る覚悟をし、急いで訪問診療と訪問看護の契約をしたのです。

その数日後、今まで通りデイやデイケア、ショートステイなど続けながら在宅で看取るということで、訪問診療の医師や看護師を交えてサービス担当者会議を行いました。まだまだお世話になるかもしれない施設の方々とも、もしもの時には訪問診療の担当医に連絡することを確認しあったのでした。

そして父は、訪問看護の看護師が最初に訪れる予定だった日に息を引き取りました。亡くなる前日までは夜中のトイレに起きることがあったのに、その日は朝まで静かでした。未明に亡くなったらしく、早朝に気付いた時にはすでに冷たくなっていました。サービス担当者会議のわずか5日後、訪問診療の契約をした10日後のことです。こんなに急に逝くとは誰も予測できませんでした。

最初の訪問看護が死後のケアであり、最初の訪問診療が死亡診断です。訪問診療と訪問看護の契約がギリギリセーフで間に合った? 正直なところ複雑な思いはあります。でも、きっと父は娘の不安が払拭したのを感じて、安心して早々に逝ったのかもしれません。そう思うことにしています。

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