住み慣れた場所で自分らしく暮らしつづけるために

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高齢者が安心して暮らせる社会へ向けて、各市区町村がボランティアや企業などと組み、まちぐるみのケアシステムの構築を進めていることをご存知でしょうか?

高齢化が進み、2025(平成37)年には75歳以上の方が2000万人を超える見込みです。さらに単身や夫婦のみの世帯、認知症の方も増加の一途をたどり、どのように対応するのかが、大きな課題となっています。

がアンケートを行ったところ「介護が必要になった場合どこで受けたいか」の問いに約4割が自宅と回答。「最期を迎えたい場所は」の問いに5割以上が自宅を希望と回答しました(内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」平成24年※全国55歳以上の男女対象)。「在宅介護・療養」を望む方が多くいます。

同時に、単なる平均寿命を超え、自して健康に暮らせる寿命(健康寿命)の延伸にも注目が高まっています。

そんな中、現在、各市区町村で「地域包括ケアシステム」の構築が進められています。これは「必要に応じて地域の医療や介護などのサービスを利用し、住み慣れた自宅や地域に暮らし続ける」ことを目指したシステムです。

この体系を最初に提起したのは、広島県御調町(現・尾道市)「公立みつぎ総合病院」の山口昇医師でした。脳血管疾患などで救急搬送され、緊急手術で救命後、リハビリを経て退院。ところが1~2年後に寝たきり状態で再入院するケースが多く、ほとんどがおむつをあてた認知症症状の方でした。

山口昇医師はこの寝たきり老人の発生を個々の問題ではなく、共働きによる家族の介護力の低下、療養環境問題、孤立化などの問題ととらえ、その解決には地域住民参加の体系を推進することが重要と考えました。そして訪問診療、訪問看護に加えて、地域住民の活動の充実などを導入。1984(昭和59)年、病院に健康管理センターを増設し、町役場の福祉と保健行政を集中させ、保健・医療・介護の一体的な推進体制を構築しました。すると、寝たきりの方などが激滅したのです。

この体系は、地域住民と協働して、「住まい」「介護」「医療」「介護予防」「生活支援」を中心に、地域ごとの特性に合わせて作ることが重要。実現には「共助(社会保険を指す)」「公助(税金による福祉を指す)」ではなく「自助」を基本に地域住民と協働し、ボランティアをはじめ地域の多様な主体が支え合う「互助」=助け合いの体制を作ることが大切となります。

現在、各市区町村とボランティア、各企業などが組んで、さまざまな取り組みがなされています。

 
この記事は『毎日が発見』2016年6月号に掲載の情報です。

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