「60代の女性です。健康というワードに敏感だった母は、やり始めるとそれをとことん突き詰めていくタイプでした。でも乾布摩擦を極めるのは大変だったようで...」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■「健康」に目がない母の朝のルーティン
母(享年83歳)は「健康」というワードに敏感に反応する人でした。
ぶら下がり健康器、ウォーキングマシン、ヨガマット、エアロバイク、バランスボール、フラフープなどなど...。
我が家には、使わなくなった健康グッズが山積みになっています。
そんな母には、毎朝のルーティンがありました。
朝起きたらまずはラジオ体操。
私は眠かったので参加しませんでしたが、我が家では毎朝ラジオから流れていました。
次は乾布摩擦。
乾布摩擦は血行促進に効果があるのだそう。
「皮膚をこすることで微細な血管が刺激されて血流が改善され、その結果、体内の酸素や栄養素の供給がスムーズに行われて、細胞の新陳代謝が活発化するんだからね」
母はそう話しながら、いつもタオルで乾布摩擦をしていました。
毎朝、上半身裸でやるのですから、弟(現在58歳)が中学生になった頃には「お母さん、それなんとかならない?」と困惑していました。
まあ、そこまではよくある話かもしれないのですが、母は乾布摩擦の真髄(?)を追究していったのです。
■エスカレートする乾布摩擦グッズ
母は乾布摩擦をするうちに、もっと健康になるにはどうしたらいいのか考えたのだと思います。
タオルよりもっと刺激を与えられるアイテムを使えばいいのではと、母が目をつけたのはへちまでした。
入浴用のへちまのスポンジなどというものがありますが、これは水に濡らしてやわらかくして使うもので、乾燥したものですと少し体をこすっただけで痛いし傷がつきますよね。
私はとても無理でしたが、母は平気な顔をして、毎朝へちまのスポンジを使って乾布摩擦ならぬ、へちま摩擦をしていました。
これでも充分なのに、次に目をつけたのは漁網スポンジ。
魚を捕まえる網を素材としたスポンジです。
魚が逃げないようにする、そして海の中で網が切れないようにしている丈夫な素材で、食器洗いに使えば頑固な油汚れもピカピカになります。
これもしばらくやっていたのですが、ついに究極のアイテムを見つけました。
たわしです。
いまはマッサージ用のたわしもあるようですが、母が使うのは金物屋さんにある、焦げ付いた鍋の汚れを落とすのに使うようなもの。
毛先も思いっきりツンツンしています。
それで毎朝、乾布摩擦ならぬ、乾たわし摩擦をするのです。
見ているだけで痛そうだし、肌も擦りむいたように赤くなるのですが、本人は平気な顔。
もう超人にしか見えませんでした。
ところが、しばらくして母は元のタオルを使った乾布摩擦に戻っていました。
聞けば「やっぱり痛かったわ」とのこと。
そりゃそうでしょ、いきつくところまでいって、やっと納得したようです。
でも、痛いのにやせ我慢して続けていたんだなと思うと、その強情っぷりが少し面白かったです。
そんな母は亡くなる直前まで、ベッドの中でも乾布摩擦をしていました。
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