<この体験記を書いた人>
ペンネーム:イケメン好き
性別:女
年齢:53
プロフィール:学生の息子を持つシングルマザーです。親の兄弟が多く親戚がたくさんいます。
私の従弟(40代後半男性)は介護士をする嫁(40代前半)と、小学生を頭に子供5人の7人家族です。
この従弟が体調不良を訴えたのが初夏の頃でした。様々な病院に行きましたが、明確な原因がわからず、そのうち体調不良も終わったのです。
ですが盛夏になると従弟の腕が腫れ、病院で調べてもらうと「リンパが腫れている」との診断、さっそく検査となりました。
そして従弟が「実は体調不良の頃から、死んだお爺さんの夢をよく見る」と言うのです。お爺さんが亡くなって既に40年余り。従弟とお爺さんの接点も見つけられない私たちは「お迎えかな?」と冗談として笑い飛ばしていました。
ですが、自分の息子のいうことを真剣に心配になるのが親です。
従弟の両親と従弟の嫁の両親の4人(4人とも70代後半)が「お爺さんの祟りかもしれない」と、お爺さんのお墓がある菩提寺に祈祷の依頼をしたのです。お坊さんは祈祷の理由が「祟り」と聞き困惑しつつも、本堂でお経をあげてくださいました。
困惑するお坊さんのお経では足りないと思ったのか、両親達4人は自称「霊媒師」に、従弟が見たお爺さんの夢の話をしに行きました。そこで霊媒師から「お爺さんが寂しがっておられる。ご供養が足りない」と言われたらしく、今までお墓の掃除も仏壇へのお供えもしたことがなかった親戚が、毎週お墓の掃除をし、毎朝仏壇に花を供えて手を合わせ、周囲が唖然とするほど熱心に読経に励むようになりました。
人から「〇×山に湧く水でお墓を洗うと祈願成就」と聞けばお水を取りに〇×山へ。「〇〇を仏壇に供えると良い」と聞けば仏壇の位牌が見えなくなるほど〇〇を買い込みました。
そして従弟の検査入院が終わり、結果が出るまでの間、両親達4人は「念押し」とばかりに様々な神社仏閣へ祈祷行脚。そのため、自宅の仏壇と神棚には日に日にお守りとお札が増えて、本来の位牌も神棚のお札も見えなくなっていました。
そして親戚の祈祷と行脚した神社仏閣のおかげか、従弟の検査は「問題なし」との結果。両親達4人も自分たちの行動に大満足したようでした。
そして親戚達で集まり従弟の検査結果を祝う会をした際、仏壇と神棚に飾られたお守りとお札の多さに驚いた従弟。みんなが「あなたと嫁さんのご両親達4人がお爺さんのご供養をなさったのよ」と言うと「なんで?」という始末。そこで夢に出たお爺さんの話をみんなでよくよく聞くと、なんと!うちのお爺さんではなくご近所に住んでいたお爺さんのことだったのです。
しかもそのお爺さんはある俳優そっくりのイケメンで有名な方。その俳優が出演するドラマが大好きでよく見ていた従弟。「まさかドラマの内容とお爺さんがごっちゃになって夢に出てきただけ?」との声が上がり、従弟も「こんな大ごとになってるなんて......」と恥ずかしそうに頭をかく始末。皆で大笑いする中、両親達4人は「これまでの苦労とご奉仕代が......」と、泣き笑いでした。
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