<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:地方都市で再任用の公務員を勤める61歳の男性です。義父は認知症の傾向はあるものの、いろんな意味で元気です。
私の義父(85歳)は、若い頃はなかなかアグレッシブな人間で、義実家周辺の荒れ地を田んぼに変え、裏山を杉の美林に整えた立志伝中の人物でした。
しかし、いまは認知症の傾向も出てきて、すっかり好々爺然(こうこうやぜん)としてきました。
また、以前に左足を怪我してからは、歩くことも少々怪しくなってきました。
もともと家を離れるのをとても嫌がる人なので、できるだけ避けてきたのですが、リハビリなどもしたほうがいいという医師の指導もあり、2023年の4月から週1回のデイケアサービスに通い始めました。
案の定、最初は渋々でしたが、すぐに週1回の通所を心待ちにするようになりました。
「思ったよりスムーズでよかったじゃないですか。やっぱり仲間がいるっていいことなんでしょうかね?」
義父と一緒に暮らしている義弟(49歳)にこう投げかけると、「いやあ、それがさあ...」と呆れたように話してくれました。
義父の通所のモチベーション、それは「恋心」だというのです。
お相手はリハビリ担当になった30代の女性で、最初の日からぞっこんとのことでした。
「まいったよ、その人がね、ヤスコさんっていうらしくてね」
「え? ヤスコって...」
「そう、おふくろと同じ名前なんだよね」
義母は2020年の3月に亡くなりました。
義父の老け込みも、義母の死がきっかけだったように感じています。
「生き写しだ。生まれ変わりに違いない、とか言い出してさあ...」
死ぬ前に生まれ変わるなんて話はないでしょう。
さらに義弟によると、件の女性は慎ましやかな感じのなかなかの美人だそうで、申し訳ないですが義母とはかなり違うというのです。
「いろいろこじつけてはいるけど、結局その人が大好きなんだよね、全く」
まあ、それでも喜んで通っているならいいんじゃないの、と話していたのですが、5月の半ばをすぎると、デイサービスを嫌がりだしたという話が聞こえてきました。
何かあったのかと思い、義弟に話を聞いてみると...。
「例のヤスコさんにさ、ぜひ家に来て面倒を見てほしいとか言っちゃったらしくて...」
前以上に呆れた様子で話してくれました。
微笑ましい好意と思っていた施設側も、さすがにここまで来ると放ってはおけないと考えたようです。
ストーカーまがいになってしまう前にと一計を案じ、ヤスコさんのシフトは変更され、義父は会えなくなってしまったということでした。
新しい担当は男性らしく、義父にとっては週に一度の楽しみを奪われた、と感じているようなのです。
「毎週なだめすかして迎えの車に乗せるのはけっこう骨ですよ。まったく、何のためのデイケアなんだか...」
そう愚痴る義弟を励ますこの頃です。
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