<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:田舎町に住む61歳公務員男性です。少子化のために地区の小学校が無くなってしまったことはいまでも残念です。
いまから13年前、2011年3月に私の住む地区の小学校は、町の大きな学校と統廃合されました。
自分の子どもたちや妻の母校でもある小学校です。
残念な出来事でしたが、全校児童は30人を切ってしまい、やむを得ないことかと思います。
その少し前、2010年には、地区の代表による廃校に関わる協議会が設置されました。
私は当時、地区の班長をしており、そのメンバーに加えられていました。
「私、教育委員会に勤めているので、不都合ではないですか?」
「直接、統廃合に関わる仕事には関わっていないんでしょ? 班長さんはみんな入ってもらっているから...」
決断しかねていた私ですが、そう促されて協議会に参加していました。
いろいろと懸案事項はあったのですが、最大の問題は廃校後の通学の足でした。
統合された学校に通うためにスクールバスの運行が検討にあがっていたのですが、そのスクールバスは地区をくまなく巡回するので、走行距離は30キロ以上になります。
けっこうな広さの地区を1台で巡回する計画では、早い子は7時前に家を出ることになります。
「すでに運行中のコミュニティバスを利用できないですかね?」
私が提案したのは、タクシー会社に委託されて町を走っていたコミュニティバスを活用することでした。
これなら2、3台で地区を分担して回ることができ、効率的に輸送できると思ったのです。「これだったら、朝に多少遅れて出るようになったり、早退したりするときも利用できるじゃないですか」
その利点を訴えると、協議会のメンバーは満場一致でそれがいいとなって、同席した町の教育委員会の職員に伝えました。
しかし、そのときに教育委員会の職員(当時30代)が怪訝な顔をしていたのが気になっていました。
次の日、私は上司の学校教育課長(当時50代後半)に呼ばれ、いきなり怒鳴りつけられました。
「余計なことを言うな!」
私は知らなかったのですが、実はすでにスクールバスの運行計画は動き出しており、もう既定路線だと言うのです。
「え? でも、その件はまだ検討中と説明されて...」
言いかけると、こうまくし立てられました。
「お前、立場が分かってるのか? 統廃合を進めている側なんだぞ! 計画にブレーキをかけてどうするんだ!」
たしかに職務上はそうでしょう。
しかし、私は地区の一員という立場もあります。
地区の子どもたちの利便を図りたいと考えるのは当然です。
「しかし、よりよい方法があるのであればですね...」
「そもそもなんで協議会のメンバーなんて引き受けたんだ! 常識外れだ!」
提案の意図を伝えようとすると、そもそも論まで持ち出されました。
「私も一旦はお断りしました。でも地区での立場上ですね...」
言い訳をしようと試みましたが、課長は聞く耳を持ちません。
「とにかく、スクールバスの件はもう決まってるんだ! 意見を取り下げろ! これは命令だぞ!」と畳み掛けられ、口を閉じるしかありませんでした。
決まっているなら、そう提案すればいいだけのことです。
地区の意見を聞くという方便のために、検討中と偽ったことこそが問題のはずです。
「意見は協議会のメンバーとして提案したことですので、その取り下げを課長に命じられても協議会の皆さんの了承を得なければできません!」と、私も激昂して言い放ってその場から離れました。
どうせ決定事項なので、あの手この手で協議会を煙に巻いてくるだろうと思い、意見の取り下げはしませんでした。
案の定、予算的に折り合わない、とか、バスを委託されているタクシー会社に難色を示された、とかいろいろ障害があることを力説して、スクールバスの話は押し通されました。
結局、「協議会の意見は参考にします」とお茶を濁されてばかりでした。
上司にすっかり睨まれた私は、統廃合が終了するまで嫌味を言われ続け、憂鬱な日々を過ごすことになりました。
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