「卒業式って出席する必要ありますか？」コロナ禍を乗り越えた大学生たちのドライな本音

私の友人Aさん（50代前半女性）には、2024年大学卒業予定の娘のBさん（22歳）がいます。

Bさんは、他の同級生や全国の大学生同様、2020年初めから大学が2カ月休校、その後もオンライン授業でした。

Aさん夫婦が飲食店を経営していることもあり、Bさんは「万が一、自分が不用意に外出してコロナに感染したら大変」と気を配り、アルバイトも人と接しない職種を選びました。

趣味だった旅行やカラオケ、キャンプなども全て我慢していたそうです。

私は、コロナ禍ではAさんとは直接会わなくても連絡をとっていましたし、Aさんとは20年近い付き合いなので、Bさんが2歳くらいの頃からずっと知っています。

そのため、勝手に姪っ子のように思っており、Bさんが大学を卒業すると聞いたときはとても感慨深かったです。

コロナ禍で大学生活も趣味も何もかも制限だらけ、就活も大変だったはず。

労いを兼ねて、私とAさん、Bさんで卒業祝いのランチをしたときのことです。

Bさんの「〇〇さん（私）、私、卒業式は行かないの」の言葉に仰天してしまいました。

やっとコロナによる規制も変わり「3年ぶりのマスクなし」生活に戻る矢先の卒業式です。

楽しみにしているかと思いきや、Bさんはとてもドライな考えでした。

「だってちょうど2年生の頃からコロナで授業はオンライン。しかも私の学部は2年生から専攻コースに分かれてキャンパスも場所が移ったし、そのキャンパスも数回しか行ったことないんだよ」

「全部オンライン講義だったから友だちもできなかったの。卒業式に行っても知らない人ばかりだよ」

戸惑う私にAさんが言いました。

「この子、こうやってずっと『卒業式に出ない』っていうのよ。でも遠方に住む、今年喜寿になる私の母にはせめて見せたいなと思ってね。『振袖の写真だけでも写真スタジオとかで撮ったら？』って言っても拒否するのよ」

そう言ってため息をついていました。

Bさんみたいな考え方は珍しいのか？　職場にインターンの大学生がいるので聞いてみました。

「卒業式ですか？　行く人もいるみたいですけど僕は行きませんよ。だって誰も知らないですしね」

本当に「あっけらかん」と答えた彼らに、今の若者はそうなのか...と言葉が出ませんでした。　

Bさんの気持ちも分からなくはないですし、どの世代もコロナの影響は大きいでしょう。

個人差もあるかもしれません。

でも、後で写真だけでも撮っておいたら良かったな、とか、コロナで大変だったからこそ卒業式にだけは出ておけばよかったな、と思わないものかモヤモヤしてしまいました。