<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:妻(58歳)と結婚して、今年2023年で30周年となる61歳の地方公務員の男性です。子どもは独立したので妻と2人暮らしです。
2022年12月、妻(58歳)と2人暮らしになり、4年目の年末を迎えたときの話です。
「来年は結婚30周年か、真珠婚式だなあ」
「せっかくだから、思い切った旅行とかしたいけどねえ」
などと話しながらテレビを見ていました。
「何だこりゃ? へえ、これでお墓なんだってさ」
画面に映っていたのは、ボタンを押すと自分のうちのお墓が運ばれてきて、そこで拝むことができるという墓地でした。
「まるでタワーパーキングだな。ふーん、土地不足ゆえの工夫なんだ...」
ニュースでは、他にもマンションのように壁一面に各家の墓地が並ぶ風変わりな墓地も紹介され、都市部では重宝されているという話でした。
「すごいわねえ。まあうちみたいな田舎は、お墓の心配をしなくていいのは助かるけどね」
妻は怪訝そうな表情でお茶をすすりながら、画面を眺めていました。
「でも、俺も還暦を過ぎてもう1年、あながち無関係な話ってこともないよ」
私が言うと、妻がさも当然といった雰囲気で言ってきました。
「お墓ならうちの実家のとこが空いてるわよ。心配ないでしょ?」
妻の実家の近く、我が家から車で10分ほどのところには代々の墓があり、区画はがら空きです。
「それはそうだけど、うちはうちでお墓を持ちたいだろ?」
「は? うちんとこじゃダメってこと?」
妻はあからさまに不機嫌になりました。
このような反応をされるとは思っていなかった私は、半分のろけのようにご機嫌を取るつもりでこう返しました。
「いや、こういう小さなお墓にさ、『仲良く』っていうのもありかな? なんてさ...」
「死んでまで2人っきりって、ないわあ!」
呆れ返ったような妻の一言でした。
予想外の反応に、うろたえながら「そんな...」と言おうとしたときに、妻のまくし立てる言葉に遮られました。
「とにかく、お墓に無駄なお金はかけられない。子どもたちにも迷惑でしょ? うちの墓地で十分じゃない。なんだったらうちの先祖代々の墓に入れてもらってもいいぐらいよお」
妻はそう言い放ち、そのまま席を立って高笑いしながら自室へ去っていきました。
「先祖代々の墓? 俺も一緒に、ってか? それじゃまるで婿養子じゃないか」
頭の中で言い返しながら、ふと思い出したことがありました。
結婚当初、義父(85歳)がやたらと義実家に私を入れようと画策していたことです。
婿養子にしたいのが本音のようでしたが、「同居しようよ。敷地内に離れを建てて」とか、怒涛のような攻撃をなんとかやり過ごしたものでした。
私が死んでから、その願いを果たさせようってつもりじゃあるまいな?
いやいや、ただ余計な出費はしないで済むように大げさに言っただけか?
それにしても、言葉だけかもしれませんが、結婚式で「未来永劫」を誓ったはずの妻の口から、死後は「2人きりはゴメンだ」と言われたことはかなりの衝撃でした。
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