こんにちは山田あしゅらです。
義両親の在宅介護の様子を嫁の目線で綴った ブログ『13番さんのあな―介護家庭の日常―(現・13番さんのつぼ)』。
ここに書いてきた13年間の記録をもとに今の気持ちを織り交ぜつつ、改めて当時のことを振り返ってみようと思います。
【前回】育児と介護の違いは先が見通せないこと。「終わらぬ介護」で自分の老後どころではなく...
義母は糖尿病、義父は高血圧とそれぞれ月1~2回の定期的な内科受診が欠かせません。
しかし『病院は待たされるところ』。
義父母の介護が始まってからというものどれだけこの無為な時間を費やしてきたでしょうか?
寒暖差が激しくなるこの季節は体調を崩す人が多く、尚のこと待つ時間は長引きます。
待合室は風邪の症状がある患者さんでごった返し、待ち時間が長くなることもさることながら、インフルエンザや胃腸風邪なども流行るこの季節。
かえって病気を拾ってくるのではないかと結構ストレスが溜まるため、出来ることなら行きたくないのが本音なのですが...。
そんな中、問題なのはやはり義父です。
義母はデイサービス、義父は歯科受診がある日のことでした。
自分の歯医者の受診でアタマがいっぱいの義父は出発1時間以上前からスタンバイOK。(いつものことです)
一方私は義母のデイサービスの支度で忙しく、そんな義父を構う余裕はありません。
義父がいつもかぶっている帽子が頭に乗っかっていないのが気になっていましたが取りあえずスルー。
義母が出かけるや、義父はすぐさま玄関に向かいました。
慌てなくても予約時間まで十分時間はあるのですが、やっぱり帽子をかぶる気配はありません。
義父の帽子は寒さ対策というより転倒した時のケガを防ぐのが目的です。
(暑い時期にはヘルメットを着用することもあります。)
それは義父も分かっているハズなのに...。
玄関で修行のように待つ義父に「帽子はどうしたんですか?」と聞くと
と、言うじゃありませんか。
家の中ですら日に何度も転倒を繰り返している義父です。
玄関のエントランス、車の乗り降り、駐車場から歯科医院入り口までの間、何も起こらないとでもお思いか?
要するに、朝、支度をする段になり帽子を探したけれどどうしても見つからず『今日からかぶらんことにした』みたいです。
探すのもめんどくさいし、また取りに行くのもめんどくさい。
だけどヨメに「探してくれんか?」も言いにくい...。
こうして「ま、いっか」と後のことにまで考えが及ばなくなっちゃうのが義父の常です。
義父が「○○がない」と言った時、大概の物はベッドの中で見つかります。
探してみるとやはり2重3重にかかった布団の中に帽子は埋もれていました。
そこで『じじいマスター』(私が自分で勝手に命名しました)登場です。
ここに長年蓄積されたデータには義父の様々な行動が記録されており、それは大体においてヒットする言わば『義父のトリセツ』。
ケガをされて困るのは介護者です。
デイサービスは休まなくてはならなくなるし通院ももれなく増えてしまいます。
それらを未然に防ぐのが『じじいマスター』なのです。
また、別の日。
この日は義父母ともデイサービスがある日だったのですが、前日は夏日に近かったにも関わらず気温がガクンと急降下。
午後から一層寒くなり風も強くなるとの予報です。
しかし...
相変わらずのアマノジャクは人の助言など聞く耳を持ちません。
前日の暖かさで一旦『暖かい』とインプットされてしまうと軌道修正が難しいのも義父の特徴です。
そして再び『じじいマスター』起動です。
ここでのポイントは、お気に入りとそうでもないのと2着の上着を持ってきて義父に選んでもらうこと。
ちょっとでも自分主体のチョイスが加わると結構すんなり受け入れやすいみたい。
これも『じじいマスター』蓄積データから(笑)
義父はお気に入りの上着を着込むと意気揚々とデイサービスへ。
結果、帰宅する頃には風雪ビュンビュンで上着を着せたのは間違いなかったようです。
風邪を引かれて仕事が増えるのはやはり介護者ですもの。
『じじいマスター』は円滑に介護を続けるための必須アイテム。
そのスキルは介護の年数が増えるほど向上するのでありました。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。