<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:61
プロフィール:地方都市に住む公務員男性です。年度末が近づくとあちこち道路工事が始まってけっこう難儀します。
2022年の11月末、妻(58歳)を同乗させて義実家に向かっていました。
年末を控えて、新年に向けた義実家の大掃除を手伝う予定だったからです。
義実家には認知症の傾向がある義父がいるのですが、頻繁に様子を見に行くようになった妻に任せているので、私が義実家に行くのは久しぶりでした。
「おや、ここ、工事してるんだ」
「ついこないだからね、前から路面にヒビがあるって言ってたから、やっとって感じ」
山間の道路はそれほど交通量が多いわけではなく、行政としてもどうしても工事が後回しになります。
道路は見通しの利かない先まで工事がされているようで、交互通行の規制がしかれていました。
「年度末が迫ると工事が増えるよね、まあ直してもらうのはいいことだよ」
そうぼやきながら、臨時に設置された信号の待ち時間を見ました。
そこには1分30秒と表示されていて、けっこうな時間を待たされるようです。
「思ったより長い距離の工事なんだな...」
サイドブレーキを引いて待っていると、後ろに軽トラが止まりました。
特に気にもしなかったのですが、突然クラクションを鳴らされました。
何事かとルームミラーで後ろを見ると「行け」というようなジェスチャーをする運転者の影が見えました。
「はあ? 見通しも利かないのに、行けるわけないだろ」
無視していましたが、間を置かずに軽トラのドアが開きました。
イライラした様子で近寄ってくるのは、70代と思しき男性でした。
「こんなとこで対向車が来るわけないだろ! とっとと行けや!」
窓越しにいきなり怒鳴りつけられました。
たしかに山間のこの道は、それほど交通量が多いわけではありません。
しかし、待ち時間が長いのは、その交互通行の区間が長いことを意味しています。
もし途中で行き合ったら、長距離の曲がりくねったバックを求められかねないわけで面倒です。
いきなり面識もないのに怒鳴りつけてくるぐらいのヤバそうな人物ですので、窓を開けずに返事をしました。
「いやあ、怖いんで、行けませんよ」
「はあ? そんなんでよく免許取れたな! じゃあ、俺が先に行くから、道ゆずれ!」
怒鳴り散らされて腹が立ちましたが、これ以上関わりたくないと思い、ウィンカーを左に出して、できるだけ左側に寄ってやりました。
軽トラに戻った男性は、さっそうと乗り込むと、車の横をすり抜けてまだ停止信号が出ていた規制道路に突入していきました。
このとき、まだ待ち時間は40秒ほど残っていました。
「いやいや、乱暴な人もいるものだ」
呆れて妻と顔を見合わせていると、私の後ろにまた1台車が付きました。
「ほら、車通りがないってわけじゃないんだから...」
そう言って前方を向き直ったとき、奇妙な光景が目に飛び込んできました。
先ほどさっそうと進んでいったばかりの軽トラが、ふらふらしながらバックしてくるではありませんか。
そのすぐ前方からトラックが...案の定、対向車に行きあってしまったようです。
しかも相手は狭い規制道路ですれ違い不可能な大型トラック、すごすごと引き下がってきたわけです。
よく見ていると、先程の男性はなんともバツの悪そうな表情で、私の車の横をすり抜け、続いていた1台のさらに後ろまで下がっていきました。
私の横を大型トラックが通り過ぎたとき、待ち時間は終了し、私はゆうゆうと車を進めました。
「それ見たことか」
と少々溜飲の下がる思いで義実家へと向かいました。
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