<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男性
年齢:60
プロフィール:地方公務員の60歳男性です。娘(27歳)は関東圏で中学校の英語教師をしていますが、中学生の時はなかなか大変でした。
娘は今でこそ関東圏の中学校で英語教師をしていますが、中学生の頃は大変でした。
2009年、3年生の夏休み前のことです。
何がきっかけか分からないまま、友人たちから無視されるいじめにあいました。
本人は黙っていましたが、悩みながら登校を続けていることを人づてに知りました。
当時、PTAの役員などもしていた私は、学校の方に相談し、なんとか直接的ないじめは収まったようでした。
余談ですが、このときの学校側の対応は納得できない点も多く、最近のいじめ隠しのような話を聞くたびに、学校ってそういうところなんだなあ、と思ってしまいます。
夏休みが明けてからも、娘は気まずい雰囲気の中で学校生活を送っているようでした。
相変わらず私には悩んでいることを明かすことはなく、ときおり役員会などで先生から話を聞き、娘本人はしっかりと学習などにも取り組んでいることを聞かされて、胸をなでおろすことの繰り返しでした。
そんな中、秋も深まった頃、突然娘からこんなことを言われました。
「...ねえ、あのさあ...今から転校ってできるのかな?」
あまりに突飛な言葉に一瞬なんのことか分かりませんでした。
「...は? ...え、って、それは...っていうか、なんでそんなことを...?」
「うーん、そういうやり方もあるのかな、って...」
「転校って一体どこに? 今の学校はいられないってことか?」
「...っていうか、私立とかさ...今から入っちゃうって、あり?」
今の学校が大好きでないのは分かっています。
でも、友だちが全くいないわけでもなく、あからさまないじめも収まっていると聞いていたので、正直なんで今頃という感じでした。
改めてそんなことを考えた理由を聞くと、とんでもない話を聞かされました。
あるとき、数人と進路について話していたそうです。
すると話の流れで、それなりに仲がいいと思っていた友人からこんなことを言われたのです。
「さち(娘の名前)はさあ、勉強だけはできんだから、今から私立とか行っちゃうって手もあるよね」
そう言われたらしいのです。
「今から転校しちゃえば」とも受け取れる言葉です。
娘としては、最後の拠り所と思っていた友だちから「あなたがいなくても構わないよ」と言われたように感じたわけです。
娘の雰囲気を感じていた友人からすれば、そのまま我慢するより「環境を変えちゃえば」という親切心もあったのかもしれません。
「私がいなくなってもいいっていうんなら、って思ったわけよ」
寂しそうにこぼす娘は痛々しいほどでした。
結局この一件以来、いよいよ学校に通いづらい気持ちが強くなったようで、娘は冬休み明けからはほぼ不登校状態になってしまいました。
この友人とはその後も関係は修復できず、高校でも別れてしまったので、あの言葉の真意を確かめることはできませんでした。
一番つらいときにも声をかけてくれたそうで、娘からすれば信頼していた相手でした。
その友人から見ても娘は決して軽々しい相手ではなかったと思います。
悪意はなく、自分の気持ちを大切にして、嫌な状態を我慢することはない...そんな意味だったのかもしれません。
でも、追い込まれている立場からすれば、突き放されたように感じることは想像がつきます。
受け取り手の気持ちをよく考える気遣いは、いつも大切にしなければと考えさせられました。
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