こんにちは山田あしゅらです。
義両親の在宅介護の様子を嫁の目線で綴った ブログ『13番さんのあな―介護家庭の日常―(現・13番さんのつぼ)』。
ここに書いてきた13年間の記録をもとに今の気持ちを織り交ぜつつ、改めて当時のことを振り返ってみようと思います。
【前回】いつ何が起きるか分からない!義母と義父の「W介護」は毎日が綱渡り/山田あしゅら
現役の頃の義父はその几帳面な性格を買われ、長年会社の経理を任されておりました。
だからでしょうか?
『お金』に関してはかなり細かく、自身のお金もガッチリ管理。
だから老後の計画も安泰と思われていたのですが...
人生何が起こるか分かりません。
病気によってひとたび精神の均衡を失うと、これまでの堅実な義父はどこへやら。
常軌を逸した義父の行動に私たち夫婦も振り回される日々が続きました。
吹き荒れる嵐のような毎日から再び正常な状態に戻ることが出来たのは、これもまた律儀な義父の性格によるところが大きかったのかも知れません。
ただ、それがちょうど良い加減でとどまらないのが義父の残念なところ。
反動でお金への執着が頭をもたげるや、義父は一気に『ケチ兵衛』に成り代わりました。
まだある程度動けていた頃ならともかく車いすなしでは外出もままならなくなってからもATMの操作は自分で行わないと承知しません。
車いすを押して連れてきた私に暗証番号を知られたくないがため、離れたところで待機させる徹底ぶりです。
挙句には
他人様にこううそぶく義父に私の気持ちはササクレるばかりでした。
ある程度資金を築いてくれていたお陰で義父母の介護費用は私たちの負担なしで賄えています。
けれどそれは対外的な費用のみであって、家族が直接被る負担は...
自分のことでイッパイイッパイの義父にとって最後の拠り所は『お金』であって、その向こうにある家族の心情など全く目に入らない。...と、そんな感じ。
認知症ではない義父が(義父は最期まで認知症の診断は下りませんでした)なぜ介護しづらいのか?
素直じゃないからとか、感謝の気持ちがないからとかその理由は沢山ありますが、信頼関係が築きづらいことが一番の要因だと思うのです。
お金のために介護しているつもりはなくても信用してもらえない相手を支えることは容易ではありません。
そんな義父のお金への執着もある事がきっかけとなり、ほんのちょっとだけ氷解しました。
それは例のごとく車いすで銀行へお金をおろしに行ったときのことでした。
この日の義父はいつもに増して手が震えていたのか、暗証番号を3回とも間違えてしまったのです。
ロックがかかってしまい、窓口で解除手続きをしなくてはならなくなりました。
義父は字が書けないので書類を書くのは結局私です。
煩雑な手続きを横で見ていた義父。
この時さすがに自分でも潮時を感じたのか、その後、引き出しだけは私に託してくれるようになったのです。
もちろん普段の通帳管理は義父ですが、車いすで義父を連れて行き、イヤな思いをしながらの銀行行脚がなくなったことは私にとって大きなストレス削減となりました。
こだわりの強い年寄りとの信頼関係構築は思う以上にじっくり長い時間が必要なようです。
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