アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。
皆さん「ママ友」はいらっしゃいますか?
私の長きにわたる人生の中の、色んなママたちのお話をしようと思います。
※登場人物はすべて仮名です
【前回】あぁ長かった...。義両親が亡くなり「嫁」としての役割を終えた私のこれから/かづ
【最初から読む】アッシー・メッシー・貢君だった彼が突然父に結婚の挨拶! 夫との馴れ初め/かづ
私はもともとママ友と深く付き合う必要性をあまり感じておらず、立ち話したりたまに軽くお茶する程度の友達付き合いで十分だと思うタイプだった。
しかし、子どもが生まれて暫く経つと子ども同士で遊ばせることも必要だと思い、私も「ママ友を作らなきゃ?」と考えるようになった。
「?」が付いているのは、情報交換の意味で必要だとは思いつつも、家事と育児で毎日が怒涛の様に過ぎるため、そんな暇はなかったからだ。
当時私が住んでいたのは住居数が多い集合住宅で、中庭のような場所があった。
そこには午前と午後に小さい子を連れたママさんたちが集まっていた。
ひとまずそこに参加してみる事に。
私にとってはお座りが出来るようになった息子を連れての「ドキドキの公園デビュー」というところだ。
「はじめまして。○○号室のかづです」と自己紹介をすると、皆さん笑顔で応えてくれてホッと一安心。
その時「困ったことがあったら何でも聞いてね」と言ってくれたのが山本さんだった。
今から思うとその人はこの住宅のボスママだったんだろう。
何から何まで指図すると言うか、口を出すと言うか。
そしてそれぞれの家庭の事を根掘り葉掘り聞くのにビックリした。
「ご主人どこにお勤め? 実家はどこ? 仕事何してた? 昨日の晩御飯はなに? 今日は?」
今ならわかる。
どこの集まりにもいるボス的な人に、根掘り葉掘り聞きだそうとする人。
晩御飯のメニューくらいは良いけど、その他に関しては「えっ? そんな事まで言わなきゃいけない?」と思ったので、ちょっと濁して答えた。
それが彼女の癇にさわったようで、顔色がサッと変わった。
いわゆる「素直に従わない」って事だったんだろう。
山本さんのお子さんは4歳の女の子たかこちゃん。
これが見ていてハラハラするほど遊び方が激しい。
いや、1人で遊んでいる分には全然かまわないが、近くに1歳や2歳の子がいてもそうなんで、見ていると周りのママたちはたかこちゃんが近づくとそれとなく我が子をかばうようにしている。
そんな状況なのに、山本さんは全く我関せずで、要はほったらかし。
二言目には、「子どもなんてほっといても大丈夫だから」。
そんな時に、たかこちゃんと1つ年下のけんとくんがケンカをしだした。
案の定山本さんは見て見ぬふりでお喋り続行中。
けれどもけんとママは気が気じゃないので止めに入るも、たかこちゃんが止まらない。
「たかこちゃんやめて! やめて!」とけんとママが大声で何度も言うもんだから、さすがに山本さんはほっとく訳にはいかなくなった。
「たかこ! けんと! こっちおいで!」
他所の子を呼び捨てしていることにビックリ。
たかこちゃんとけんとくんはベンチに座る山本さんの前に並んだ。
私はたかこちゃんを後ろから見る位置にいた。
「あんたたち! なんで仲良く出来へんの!」
(いやいやいや、仲良く出来へんのはたかこちゃんやから...)
「あんたたちがケンカすると、周りの子が危ないでしょ! わかった!?」
山本さんは鼻息荒く、さも自分は子どもをしっかり叱るママだと言わんばかりに怒鳴り声をあげてる。
その時私は見た。
たかこちゃんが後ろ手にけんとくんをつねっているところを。
えええっ! 4歳でこんな事する?
驚きと共に恐ろしさを感じた。
ビックリしたのはそれだけでは終わらない。
台風が近づいてきているという天気予報があった日、いつもの様に中庭で遊んでいると山本さんが思いついたように言いだした。
「あっ! 台風が近づいてきてるやん? 雨降ると中庭で遊ばれへんから、順番でおうちで遊ぶことにしようよ! うん! そうしよう!」
私はその時はあまり深くは考えておらず、これもここの付き合い方の一つだからしょうがないし、順番ならお互い様だと思った。
「じゃあまずは、次に雨降った時は上田さん所ね!」
(あ、まずは自分じゃないんだ...)
「あ...、はい...。」
心なしか、上田さんの返事で嫌なんだと分かった。
そして雨の日になり、午前9時ごろ山本さんから電話が掛かってきた。
「9時半に上田さんち集合ね!」
そんなに早くから?
急いで用意をして上田さんちに行った。
集まった(呼び出された)のは皆子どもが0~2歳のお宅ばかりで、その中で4歳のたかこちゃんがものすごい勢いで家の中を走り回る。
おまけに勝手に冷蔵庫を開けるわ、他の部屋の戸を開けるわで、もちろん山本さんは知らん顔。
上田さんはたかこちゃんが走り回ったり冷蔵庫の戸を開けるたびに、「そこはやめてね」と言い続けてる。
正直言って、中庭でもあれだけの暴れ様なので、そりゃあ家の中でおとなしくしなさいは無理だろう。
そこで私はやっと気が付いた。
山本さんは天気が悪い日はたかこちゃんにこれを家の中でやられるので、1人で面倒を見るのが嫌だから他所のお宅でほったらかしに来ているんだと。
たかこちゃんがおなかがすいたと言い出したので、おやつタイムになった。
皆それぞれに持ってきたおやつを出したが、山本さんは手ぶら。
それぞれでおやつ交換をし、山本さんにもたかこちゃんの分としてみんなから少しづつ分けたものを渡そうとした。
その途端、山本さんが機嫌悪そうに言い放った。
「うちの子4歳やからもうそんな赤ちゃんみたいなもん食べへんのやけど!」
けれどもみんな0~2歳の子たちなんで、持ってきたのはたまごボーロであったりソフトせんべい的な物ばかり。
「うちの子が来るって言うのわかってて、なんで用意してへんの?」
(いや、むしろ自分で持って来いよ)
上田さんは「旦那のやけど...」と言いながらポテトチップスを見せたら、「あるやん♪ それでええねん! うちの子それ好きやわ!」と言って、ニコニコ笑顔になってたかこちゃんに袋ごと渡した。
袋ごと!?
子育て初心者の私は、4歳になったらポテチを袋ごと食べるようになるのかと思ったが、周りのママたちの反応からそうではないんだろうなと言う事を瞬時に理解した。
たかこちゃんがあまりにも暴れるので上田さんの顔に疲れが見え始めた。
私たちは互いに目配せをしてお昼を待つまでもなく早々にお暇(いとま)しようとなった。
タイミング良く上田さんの子どもも午前寝をしたいのか愚図りだし、私たちも「今から帰ってみんなお昼寝やねぇ~」と言っている中、山本さんは「うちの子昼寝せーへんから!」と居座る気満々。
他のママが「また今度にしようよ。ね?」と、半ば説得するようにして渋々山本さんも帰る事に。
その翌日、1階にある集合郵便受けの所で上田さんとばったり会ったので昨日のお礼を言うと、「あのあと他の方とも話したんだけど、もう自宅で順番に集まるのはやめにしようってことになったの」と言う。
「各自それぞれでお邪魔するのは良いけど、こんな『順番に』って強制的に大勢で集まるのはやめようって皆さん言うの」
私が「それが良いですよね!」と答えると、上田さんはホッとした顔をしていた。
この話は山本さんも納得してるのか?と心配にも思ったが、私が出る幕ではないと思った。
けれども山本さんにこの話が届いた時に、なぜか「順番で家に集まるのはやめよう」の言い出しっぺが「私」だと山本さんは思ったのだ。
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